●「自分のことは自分で」
子どもに「自分のことは自分でしよう」と言うことはよくあると思います。着替えや食事など日常の行動を、小さい頃から自分でできるようになってほしいと考えてのことと思います。一方で、「自分で選ぶ」「自分で決める」ことについてはどうでしょうか。子どもだけでなく、障がいがある人、支援が必要な人に対して、つい周りが『考えてあげる』『決めてあげる』となっていないでしょうか。
「セルフアドボカシー」という言葉があります。「自己権利擁護(自分の権利を守る)」という意味です。世界中の障がいのある当事者たちの、『私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing about us without us)』という願いのもと、2006年に障害者権利条約が国連で採択されました。「自分のことを自分で決める権利」はとても大切なものです。もちろん、自分一人だけで決めるのではなく、信頼する家族や支援者と一緒に決めることもできます。その時にも、本人の「考え」「願い」が最優先です。
そのためには、本人が自分に必要な支援を知り、周りに説明し理解してもらうことが重要になります。なるべく子どもの頃から本人の理解力に合わせて「あなたはどうしたいか」を一緒に考える機会が持てると良いです。周りが考える最善の案と、本人の希望が違うことはよくあります。どちらかが意見を押し通すのではなく、話し合い、周りが考える案の根拠も伝えながら、最終的には本人が決定していく経験を積めると良いでしょう。それで失敗することもあるかもしれませんが、それも一つの経験として、家族や支援者と一緒に振り返り、どうしたら良かったかを考えることで自分に必要な支援がわかることもあります。失敗がプラスに変わることもあるのです。
「自分で考え、自分で選択し、自分で決める」、これは将来の自立に向けてとても大切なことです。本人が受け身の存在ではなく、能動的に自分の人生を考えるということです。家族や支援者は、その人がその人の人生の主役として生きられるように、支えていけると良いですね。
参考文献:「まんがでわかる 発達障害の人のためのお仕事スキル」
鈴木慶太監修 合同出版
問合せ:発達支援センター
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