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教科書無償化に込められた願いに思いをはせよう~部落差別(同和問題)~

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熊本県宇土市

入学、進学の春がきました。各学校で、真新しい教科書を手に、新年度への期待と緊張の表情を浮かべた子どもたちの顔が目に浮かびます。
現在、教科書は、義務教育において、あたりまえのように無償で配布されています。しかし、初めから無償だったわけではありません。
今のように、小中学生へ教科書が無償配布されるようになったのは、1969年(昭和44年)のことでした。それまでは、各家庭で購入しなければならず、多くの家庭では苦労が絶えませんでした。

○部落差別(同和問題)の解決に必要なこと。(複数回答)

(掲載グラフは2022年8~9月宇土市人権に関する市民意識調査より抜粋。n=790:調査回答数790票をもとに割合を算出しています。)

教科書が有償だった当時、高知県内のとある地区では、厳しい部落差別ゆえに安定した労働につけず、苦しい生活を送っている母親たちがいました。彼女たちの多くは失業対策事業に従事していましたが、その一日の賃金は当時の約300円でした。これに対して、教科書代は小学校で約700円、中学校で約1,200円でした。子どもの数が今よりも多かったそのころは、教科書をそろえることが、生活を脅かす大きな壁となっていました。
1961年(昭和36年)のことです。学校の先生と一緒に、部落差別問題をはじめとする様々な学習を重ねていた高知県の地区の母親たちは、日本国憲法第26条「義務教育は、これを無償とする」という条文に出会います。彼女たちは、この条文の規定がある以上、教科書も無償にして、子どもたちに十分な教育を受けさせるべきではないかということに気づきました。そこから、教科書無償化運動を展開させていったのです。この運動は、挫折を繰り返しながらも長く粘り強く継続され、やがて全国に広がり、国を動かしました。
母親たちの気づきと血のにじむような要求運動のおかげで、義務教育課程にある子どもたちは、みな平等に教科書を手に教育を受けています。
教科書無償化に至る道には、部落差別が引き起こした弊害の重みと、差別による負の連鎖を断ち切り、子どもたちに十分な教育を受けさせたいという、親たちの熱い思いが背景にありました。このことに思いをはせ、部落差別のない社会をつくっていきましょう。

問い合わせ:生涯活動推進課 生涯学習係
【電話】22-6510

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