■ハンセン病と人権 隔離政策廃止後も続く苦しみ
▽ハンセン病とは?
ハンセン病は感染原因がわからなかったために、不治の病や遺伝する病気と考えられ、恐ろしい病気と思われていました。明治6(1873)年にハンセン博士が「らい菌」による感染症であることを発見。治療法も確立し、治癒する病気となり、とても感染しにくいこともわかりました。
▽どんな人権課題が?
国は、患者を療養所に隔離する政策を平成8(1996)年の「らい予防法」廃止まで続けました。結果、ハンセン病は感染力の強い病気であるとの見方が消え去ることはなく、偏見が助長され、入所者だけでなく家族もさまざまな差別を受けてきました。
▽隔離政策廃止後は?
国は療養所入所者などの患者・回復者に謝罪し、新たな補償制度や療養所に入所していない人にも給与金制度を設けました。ほかにも、家族への補償や法整備でハンセン病問題は解決に向けて前進していますが、ハンセン病患者・回復者と家族の人権と尊厳は、完全に回復したわけではありません。現在も故郷に帰れない回復者や回復者の家族であることを明かせない人が多く、今もなお苦しみや悲しみを抱えています。
▽解決に向けて
私たちは、私たちの社会が患者・回復者と家族に大きな苦痛を与えてきたことを、社会の一員として深く心に刻み、差別や偏見の解消に努めていきましょう。ハンセン病の歴史や知識を正しく学び、理解して、二度と同じ過ちを繰り返さないようにしなければなりません。
地域人権教育指導員 窪田龍記(たつき)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>