■玉名市利用者支援専門員のいる子育て支援センター
利用者にもっと寄り添える場所へ
「森のひろばログさんち」「たまっ子らんど」では、地域子育て支援拠点事業と利用者支援事業を展開。子育て家庭が市内の支援サービスを円滑に利用するために、身近な相談ができる子育て支援専門の「玉名市利用者支援専門員」がいます。2人の専門員と、それぞれの支援センターの利用者に話を聞きました。
▼森のひろばログさんち
ログさんちセンター長/玉名市利用者支援専門員
塚本明子(つかもとあきこ)さん
▽地域でつくる支え合う子育て
ログさんちでは「子育て中の皆さんがホッと安心できる場づくり」に取り組んでいます。利用者支援専門員の役割は「相談事を関係機関につなぐこと」と「地域連携」の2つ。利用者から相談があった際は、必要ならば保健センターやこども家庭センターなど各機関につなぎます。関係機関はネットワークをつくり定期的に研修や会議を実施し、本市の子育て支援の底上げをしています。
ログさんちの大きな特徴は、自然と触れ合う子育てができること。広い森と農園で散歩や農園体験ができます。お父さんお母さん自身が自然での経験が少ない現状があるので、親子で一緒に体験することを大切にしています。また、ログさんちをボランティアの皆さんが支えてくださっていることも特徴の1つ。最初は不安な顔をして来ていたお母さんも、支援センターで過ごすうちに「今度は自分が若いママたちをお手伝いしたい」と思ってくださる。そういったお母さんがイベント時のスタッフや、絵本の読み聞かせ、子育て情報誌の編集員などでボランティアとして活躍されています。ログさんちを卒業したお母さんが「地域の人」となり、若いお母さんを支え、育てる循環ができています。
▽みんなでつながって安心子育てを
私自身、ログさんちの立ち上げから関わり、スタッフとなって17年が経ちました。お母さんの様子も年々変わり、今は以前よりお母さん同士のつながりが薄れ、孤立しやすくなっているように感じます。だからこそ利用者の皆さんにはログさんちでつながって安心して過ごしてもらいたいです。スタッフ一同大切にしていることは「目の前にいる1人の人にどれだけ丁寧に関われたか、その人に安心感を与えられたか」ということ。受容と共感を心掛け、利用者の皆さんといろいろな話をしています。支援センターは敷居が低く、子どもを遊ばせながら話ができる。気楽に相談して、安心してほしいです。
SNSでは、テキパキと家事をするおしゃれなママや手の込んだ離乳食などに目が行きがち。でも現実はそうはいきません。SNSの世界を見て、1人で焦って頑張る必要なんてない。ログさんちでは利用者同士で、子どもへの声掛けや関わり方などが学び合えます。「離乳食を食べない」などの悩みも「大丈夫。うちもそうだったよ」と他のお母さんに言われると安心します。利用者同士でカウンセリングし、情報交換ができることもこの場所の意味があるところ。みんなで育ちあって、みんなで子育てしていけたらいいなと思います。
▼ログさんち利用者インタビュー
小池志穂梨(こいけしほり)さん(34歳、築地)
長女 咲那(さな)ちゃん(1歳)
結婚を機に退職し専業主婦へ/3歳、1歳の2児の母
山鹿市出身。実家には子どもたちを連れてよく行っています。運転中、束の間の1人時間にコーヒーを飲むのがお気に入り。
▽子育ての困りごとを相談できました
夫の仕事の都合で昨年の5月に転入しました。ログさんちを利用し始めたのは長男・悠晴(ゆうせい)が3歳、咲那が生後1カ月のころ。咲那が生まれて「ママに遊んでほしいのに授乳やお世話で忙しそう」というストレスから悠晴の赤ちゃん返りが頻発していました。支援センターを利用したことはありませんでしたが、周りに友達はおらず自宅で2人を保育するのは大変で足を運んでみることに。先生が咲那を抱っこしてくれ、その間に悠晴と2人の時間を十分とれたことから赤ちゃん返りも減り、咲那に優しくしてくれるようになりました。悠晴が幼稚園に入園するまで毎日のようにお弁当を持って遊びに来ました。
ここでは他の利用者や先生と食事や発達のことなど色んな話ができます。子育ての困りごとを相談して、共感してもらえるだけでとても気持ちが楽になる。これまで何度も救われました。悠晴を出産したころ、社会から孤立したように感じ不安に思ったことがあります。食物アレルギーも発覚し、頭蓋骨矯正も必要でとてもつらかったです。もっと早く支援センターに来れば私の気持ちも違ったのかなと思います。
▽ここで、社会性を身に着けてほしい
育児で心掛けているのは、声をかけることと見守ること。本人が話せなくても「これが食べたいの?」「こうしたかったの?」と聞くようにしています。本人がやりたいことは危険なこと以外手を出さず見守り、何かあったら助言する。自分で考え行動できる人になってほしいと思っています。長男は支援センターを利用する中で立場が違う人と接することを学んだようで、他の子どもにおもちゃを譲れるようになりました。家ではできない、社会性を身に着けられることがこの場所の良さの1つだと思います。
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