◆子育て支援
○特色のある学校づくり
4月1日、義務教育学校「球磨村立球磨清流学園」が開校しました。今後、将来にわたって球磨村を発展させていくためには子育て・教育の充実が必要です。子どもたちの生き生きとした元気な姿は、子どもたちの住む周辺地域のみならず、村全体の活性化にもつながります。子どもを中心に、学校、家庭、地域、行政が連携し、子ども一人ひとりに応じた確かな学力、豊かな心、健康な体が育まれる学校教育を目指します。9年制の義務教育学校であるメリットを最大限に生かしながら、教科担任制の導入や村の自然、歴史、文化などの素晴らしさを学ぶ「ふるさと学」を開設します。また、「プログラミング教育」では、論理的思考力を養い、創造性と表現力を高め、学習への積極性を育むことが期待されます。このように新たな取り組みにより郷土愛の醸成と、将来を担うデジタル人材の育成を図るなど、魅力ある学校づくりを進めます。
○子育てしやすい村づくり
学校給食費助成金や入学進級準備給付金、高校生等教育支援補助金など子育て世帯への経済的支援のほか、不妊治療費の助成や産後ケア事業など、安心して出産し子育てのできる環境づくりに取り組むことで、子育てしやすい村、子育て世帯に選ばれる村を目指します。
◆高齢者福祉の充実
○健康と生きがいづくり
本村の高齢化率は50パーセントを超えていますが、昨年は100歳の誕生日を自宅で迎えられた方が数名いらっしゃるなど、これまで力を入れてきました高齢者の自立支援や、介護予防の取り組みの成果が出ています。今後も地域包括ケアシステムの推進と、さらなる機能強化を図り、医療・介護分野の連携により、高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らすことのできる村を目指します。
また、高齢者の皆さまは、これまで村を支えてこられた方々であり、今後の村づくりを進める上で、その知識や経験を活かし、地域を支える担い手として就労機会の拡大や地域貢献活動の取り組みを推進していきます。
◆産業の振興
○農林水産業の活性化
本村の基幹産業である農林業の振興を強固に進めていくため、産業振興課を農林係の1係体制から農業係と林業係の2係体制とし、引き続き災害からの復旧を進めるとともに、後継者と担い手の育成や、スマート農林業の推進による作業の効率化などにより生産性の向上を目指します。なお、昨年設立されました農事組合法人球米(きゅうべい)への支援を継続して実施するとともに、新たな創業者などに対しても可能な限り育成を行っていきます。併せて、産業振興対策補助金の補助率を引き上げることで、農林業従事者の生産意欲の向上を図り、将来にわたり守っていくべき農地の利用性の向上と、生産基盤の整備につなげていきます。
また、水産業については、これまで国の交付金を活用し、「ヤマメ」「球磨川大鱒」「スッポン」の養殖に取り組んできました。今後はさらにシカ肉などと併せて、加工品の開発や販路拡大により、特産品としての活用を目指します。そして、森林組合や農事組合法人球米、その他関係事業者と連携し、農林水産業の振興に取り組んでいきます。
◆観光の振興
○観光村づくりの実現
今後の村の地域振興をけん引していくのは観光振興による取り組みであると考えます。まず、私たち村民が球磨村の魅力を知ることが重要です。毎日当たり前のように見ている「球磨川」「棚田」「温泉」「緑豊かな山々」九州最大級の鍾乳洞「球泉洞」そして「村の文化」など、素晴らしい観光資源が数多くあります。今後は、さらなる観光資源の発掘、観光客の受け入れ体制の整備、情報発信、村内外の商工業者などとの連携などの取り組みを進めることで、観光村づくりの実現を目指します。
◆安心・安全なくらしの環境づくり
○移住定住の促進
令和2年7月豪雨災害からの復旧復興に向けて「球磨村復興まちづくり計画」に基づき事業を進めているところです。今後も被災された皆さまの生活再建を急ぐとともに、人口減少対策として、移住定住の促進を図るため仮設住宅の利活用や空き家・空き地バンク制度の活用、移住者への支援策など、さまざまな観点から施策を検討し、未来に後悔を残さないという覚悟を持って取り組みを進めていきます。
○交通基盤の整備
交通基盤の整備については、国・県と連携して災害からの復旧を進めるとともに、生活道路などの整備や維持管理に努めていきます。また、災害で被災したJR肥薩線について、先月3日、県とJR九州が基本合意しました。本年度末の最終合意に向け、さらに県・沿線自治体と連携を深めていきます。
コミュニティバスについては、交通弱者の利便性の向上を図るため村民のニーズに沿った新たな交通体系を検討していきます。
○防災対策
ハード面においては、避難路や避難場所などの検討、整備を進めます。ソフト面では、防災ブロック会議や防災訓練により、県・自衛隊・消防・警察との連携を深めるとともに、防災講話や「全村民が避難について考える日」などにより村民の防災意識の高揚を図り、自主防災組織の立ち上げへの支援、消防団の再編による機能強化などを通して災害に強い村を目指します。
○最後に
日本の人口は平成23年から減少に転じています。本村においては、先日、紙面に消滅可能性自治体として掲載されるなど危機的な状況といえます。
一方で、本村は、今年合併70周年を迎えました。先人たちから受け継ぐこの村において、持続可能な村づくりを進めるためには、村民・議会・執行部が思いを一つにして、何事にも取り組まなければなりません。そして、村民の皆さまにおかれては、村政に関心を持ち積極的に参画していただくことが重要と考えます。
私は、災害を経験して、子どもから高齢者まで村民の声に耳を傾けることの大切さ、そして村づくりの主体は村民の皆さまであるということを再認識しました。今後は、村民との対話の機会を増やすこと、村民の声を施策に反映させることを心掛け、村民主体の村づくりの実現を目指していきます。
球磨村長 松谷 浩一
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