■減り続ける児童数
心身の発達に重要な時期である小学校の6年間。長引く少子化の影響で全国的に児童数は減り続けており、市内の小学生も5年前と比べ234人減少し、学校の維持が危ぶまれています。
しかし、地域の賑わいには学校の力も重要です。近年、児童が少ない小規模校の維持に向けた「小規模特認校制度」を採用する自治体が増えてきています。
今月号では小規模特認校制度と、制度導入予定の花房小、戸崎小、泗水西小3校の特色について紹介します。
▽市内小学校の児童数の推移
■小規模特認校制度で学校と地域の維持を目指す
少子化を受け、学校現場にも変化が起きています。校区外の児童も就学できる「小規模特認校制度」もその一つ。特色ある教育や地域の賑わいを維持するための取り組みが進んでいます。
▽児童数減による教員数の減少 学校運営や地域活動継続に懸念
「もうちょっとだよ、頑張って」
「やっぱり上級生は速いね」
青空の下、早朝から運動場を走る児童たち。これは体力向上を目的に行われている花房小学校伝統の「目覚ましマラソン・ウオーキング」です。同小は体育活動に力を入れていて、昨年度は県体力向上優秀実践校にも選ばれました。
「うちは素直でやる気のある児童が多いです」と笑顔で語るのは花房小の村上晴菜(むらかみはるな)教諭。少人数ならではの学年交流や地域に根ざした行事も多く、特色のある学校だと話します。
「その一方、児童数の減少は続いていて、今年の4月には担任する3・4年が複式学級になりました。1時間の中で2学年分を指導していますが、授業の準備など負担が大きいのが現状です」
2学年で児童数が16人以下の小学校では原則として複式学級が設けられ、教員の配置数が減らされます。教員数の減少によって、今後の学校運営や地域活動への負担、制限が生じることが懸念されています。
▽教育活動の活性化のため、小規模特認校制度を導入
市教育委員会でも今後の学校運営に危機感を持っています。将来の市内児童数を推計したところ、花房小の他にも2つの小学校で複式学級の可能性が見込まれました。
こうした現状を踏まえ、児童数の少ない小規模校の維持を目指し、通学区域に関係なく転入学を認める「小規模特認校制度」を令和7年度からの導入を決定。県内では熊本市や山鹿市、大津町などの自治体が既に始めています。
「学校が存続し、地域で子どもたちの声が聞こえることで、まちは明るくなります」と音光寺以章(おんこうじいしょう)教育長は説明します。「制度を導入することで、もともと通っている子どもたちの人間関係の幅も広がります。小規模特認校制度は、複式学級の解消だけでなく、教育活動の活性化のための解決策になると期待しています」
■インタビュー
▽小学校は地域の核となるもの
花房小学校運営協議会 野口祐二(のぐちゆうじ)会長
小学校の運営協議会で会長をしています。花房小は特色のある学校です。マラソンや体操などの体育に力を入れている他にも、地域の皆さんが読み聞かせをしたり水鉄砲作り教室を開催したりしています。児童との交流も多く、住民が学校を見守るような地域です。
児童数が減り続けているということで、以前も統廃合の話があり危機感を持っていました。小学校は地域の核となるものです。学校から子どもたちの声が聞こえてくると、私たちも元気になります。もしなくなってしまったら寂しいですね。
小規模特認校制度が始まることで、今まで以上に学校に活気が出てくるのではないかと期待しています。引き続き地域のみんなで子どもたちを見守っていきたいです。
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