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地域医療最前線!公立河北中央病院赤ひげ通信

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石川県津幡町

■便潜血反応検査
臨床検査技師 南山愉佳
近年、大腸がんに罹患する人が増えています。大腸がんは大腸に発生する悪性腫瘍で、代表的な症状は、便に血が混じる・便の表面に血液が付着するなどです。「便潜血反応検査」とは、便の中に血が混じっているかを調べる検査で、目に見えないほどの微量の出血を見つけることができるため、大腸がんの検診に使われています。

▽便潜血反応検査の特徴
便潜血反応検査では、血液の中に含まれる「ヘモグロビン」という成分を検出しています。この検査は、食事や服用した薬剤の影響を受けることがほとんどなく、排便した検体を提出するだけの簡単な検査です。また、大腸がんの検診では、それぞれ別の日に2回採便した検体を提出します。(二日法)大腸の中に病変があっても、1回の採便(一日法)だけでは血液が検出されない可能性があるためです。

▽採便の注意点
検査結果に影響を及ぼす可能性があるため、便潜血反応検査のための採便にはいくつかの注意点があります。

(1)便に水が付着しないように採便する
和式トイレの場合は、便器後方にトイレットペーパー(または採便容器に付属しているシートなど)を敷き、その上に排便します。洋式トイレの場合は、通常とは逆方向に(ふたに向かって)座り、同様にトイレットペーパーを敷きます。トイレの洗浄水に添加されている消臭・消毒液が便に付着すると、血液が流れてしまったり、血液中のヘモグロビンが壊れたりして正確な検査結果が出ないので、洗浄水が便に付着しないよう注意しましょう。

(2)適切な量を採便する
血液が付着しているのは便表面の一部だけのことが多いので、表面を広く、まんべんなくこすります。便に突き刺して採取することは避けてください。先端の溝が埋まるくらいとりましょう。少なすぎても多すぎても、正確な検査結果にはなりません。

(3)採便した検体は冷暗所で保管する
室温(15~20℃)では血液中のヘモグロビンが壊れてしまうので、採便から3日以内に提出しましょう。提出までは冷暗所での保存が望まれます。
便潜血反応が陽性となり精密検査を受けた方の約2~3%に大腸がんが発見されたとの報告があります。良性のポリープが最も多く、痔やほかの病気、何も問題がない方がほとんどです。
二日法で2日とも陰性の場合は、翌年の検診を受けましょう。1日でも陽性の場合は、大腸内視鏡検査をおすすめします。検診の便潜血反応検査で陽性が出た・便に血が混じる・便の状態がおかしいなど、気になることがあれば、病院の受診を検討しましょう。

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