~修復作品紹介~
◆今月のイッピン!「粟生屋源右衛門(あおやげんうえもん) 孔雀山水図硯屏(くじゃくさんすいずけんびょう)」
粟生屋源右衛門(あおやげんうえもん)(1789~1858)は江戸後期に吉田屋窯(よしだやがま)、松山窯(まつやまがま)などで活躍した九谷焼の名工として有名です。藩窯若杉窯(はんようわかすぎがま)で本多貞吉(ほんださだきち)に師事し、色絵を極めやがて再興(さいこう)九谷焼の吉田屋窯開設に大きく関与しました。一方、小松の自宅邸内では父の代から楽焼(らくやき)系の焼き物生産を生業(なりわい)としていました。特に源右衛門は、軟陶(なんとう)色絵に長けており、ずば抜けた造形力で硯箱(すずりばこ)や小箪笥(しょうたんす)、卓(たく)などを制作し高い評価を得ています。
当作は、寺井町役場時代からの所蔵品でしたが、当初より大きく破損し色絵の剥落(はくらく)や欠損部位がありました。それを今夏復元修理に出しこのほど戻ってまいりました。ほぼ完全に元の形状に復していると考えられます。
形体は文人趣味のいわゆる硯屏(けんびょう)なのですが、意匠が凝っていて猿二匹が両脇で花鳥画と山水画が描かれた衝ついたて立を支えています。絵画部は少々絵具が流れています。額縁には紺の唐草に緑で前田家の剣梅鉢(けんうめばち)の家紋が散らしてあります。前田家ゆかりのところへの献上品として制作した物かも知れません。陶彫(とうちょう)作品としても鑑賞できるイッピン!です。
(文・五彩館館長 中矢)
粟生屋源右衛門 孔雀山水図硯屏
サイズ:縦12.0/横50.0/高31.5cm
作者:粟生屋源右衛門
生没年:1789(寛政元)~1858(安政5)年
制作年:1850年頃(嘉永年間)
所蔵:KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|
◆INFO
▽いしかわ百万石文化祭2023応援事業
「九谷“繋がる展” and ワークショップ」
期間:~11月26日(日)
会場:「五彩館」
※会期中「五彩館」は無料
▽|浅蔵五十吉記念館|開館30周年記念展
第2弾「浅蔵五十吉一門と若き創作者」作品展
期間:~11月26日(日)
会場:「浅蔵五十吉記念館」
▽|浅蔵五十吉記念館|開館30周年記念展
第3弾「二代浅蔵五十吉と作家友の会」作品展
期間:11月29日(日)~令和6年3月31日(日)
会場:「浅蔵五十吉記念館」
▽展示替えのため臨時休館
期間:11月27日(月)~28日(火)
会場:「浅蔵五十吉記念館」
期間:11月27日(月)~12月1日(金)
会場:「五彩館」
■情報発信元:KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|
入館料:一般430円・75歳以上320円・高校生以下無料
※浅蔵五十吉記念館もあわせて入館いただけます。
基本的感染対策(手指消毒など)にご協力をお願いします。
問合せ:【電話】58-6100【FAX】58-6086
※月曜休館
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