文字サイズ
自治体の皆さまへ

【特集】厚木を味わう(3) 食卓を支える

4/26

神奈川県厚木市

市民朝市や直売所には米や野菜、肉などの彩り豊かな農産物が並びます。耕作放棄地の増加や高齢化、後継者不足などが叫ばれる中、手間や時間を惜しまず農業に向き合う皆さんの思いを聞きました。

■市内の生産農家数

出典:2020年農林業センサス

■「おいしい」が原動力
霜島農園・飯山パイロットファーム
霜島 邦夫さん(31・飯山)
秋の気配が漂う9月。黄金色に染まった田園には5月に植えた苗が穂をつけ、こうべを垂れています。「今年もいいお米が育った。お客さんの元に届けられるのが楽しみ」と笑顔を見せる霜島邦夫さんは、田んぼの傍らにある作業場で収穫の準備を進めていました。

▽父と歩む米づくり
霜島さんは、代々続く農家の3代目。幼い頃から農作業に励む父親の姿を見て育ちました。「ひたむきな姿勢が格好良くて自然と同じ道に進んでいた」。大学卒業後は農業協同組合に勤めながら知識を深め、2020年に就農しました。約16ヘクタールの田んぼで、父を含め3人で育てています。「天候や気温が変わる中、品質や量をそろえるのは難しい。台風などで稲が駄目になってしまったら、1年間が全て無駄になる」と話す霜島さん。お客さんにおいしい米を食べてもらうため、暑さ対策や土壌改良などの工夫をしながら米作りに励んでいます。

▽選ばれるために
作っているお米は、神奈川生まれの品種「はるみ」を中心に、もち米や米粉に使用する専用米の3種類。収穫したお米は、直売やレストランなどの市内の飲食店、JAあつぎなどに納めています。「作っている人の顔や場所、作業を見られるからこそ、良い物にこだわっている。同じ農作物であれば地場産の物を選んでほしい」と力を込めます。
農園では野菜やブドウ、ナシなども栽培。3年前からはSNSでの直売情報の発信にも力を入れています。「直接『おいしかった』と言葉をもらえた時が一番うれしい。これからも頑張ろうと思える」と笑みを浮かべます。食卓を厚木の農産物でいっぱいにする夢に向け、今日も霜島さんは田んぼに向かいます。

■お客さんを笑顔に
大貫農園
大貫 浩一さん(61・戸田)
「手をかけた野菜が立派に育って、良い物が収穫できた時はやっぱりうれしいね」。そう話すのは、大貫浩一さん。温室や畑で、トマトとキュウリを中心にキャベツ、ブロッコリー、ネギなど20種類以上を栽培し、夢未市や市まるごとショップあつまるに納めています。

▽直売の良さを生かして
1974年に始まった市民朝市。大貫さんも、父親が第1回目に出店して以降、50年間続けています。それまでは市場に卸していたため、直売は朝市が初めて。「当時は小学5年生で、大量のネギをトラックに積んだり、お客さんに販売したりと手伝ったのを覚えている」と、大貫さんは振り返ります。
「直売はお客さんと顔を合わせて会話できるのが魅力」と、朝市では旬やおいしい野菜の見分け方などを伝えるだけでなく、お客さんの声にも耳を傾けています。「ブロッコリーがあったらいいな」「カボチャも売ってほしい」などの声に応えようと、少しずつ栽培する品目を増やしていきました。「足を運んでくれたお客さんの満足そうな表情を見られるのがやりがい」と笑顔を見せます。

▽農業を次世代に
大貫さんは息子の祐輝さん(30)と共に野菜を栽培しています。「収穫までに品質をそろえるのが難しい。最近は猛暑もあり、今までと同じ栽培方法では思い通りにならないことも多くなってきた」。2人で生育状況を見ながら、作物に栄養が行き渡るよう、肥料や土づくりなどにも力を入れます。
「野菜を通して厚木がにぎわってくれたらうれしい。元気なまちであれば、農業も盛り上がる」。市民朝市の店頭にも2人で立つ大貫さんは、ゆくゆくは祐輝さんを中心に野菜作りを続けてほしいと願っています。農業を次世代へつなぐ。未来への思いを胸に、今日も野菜作りに精を出しています。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU