7月3日水曜日、一万円札、五千円札、千円札が改刷され、約20年ぶりにお札のデザインが一新されます。このお札を製造している工場の一つが、国立印刷局小田原工場。職員の石坂さんに、小田原工場について教えていただきました。
国立印刷局小田原工場(酒匂6-2-1)
敷地面積:約25万平方メートル
職員数:約840人
《製紙から印刷まで行う唯一の工場》
国立印刷局は、日本銀行券や官報、旅券(パスポート)、郵便切手など公共性の高い製品を製造しています。
小田原工場では、日本銀行券の製紙から印刷までを一貫して行っています。これは、国内に6カ所ある国立印刷局の工場の中で、小田原工場だけです。さらに、偽造防止などの研究開発を行う研究所や技術者などを育成する研修センターも隣接する、国立印刷局の大きな拠点となっています。
〈国立印刷局全体で製造している日本銀行券は、年間約30億枚。積み上げると、富士山約80個分の高さ(約300キロメートル)になります!〉
《交通の便と豊かな水を求めて》
小田原工場の前身である「酒匂工場」が設置されたのは、小田原市が誕生した翌年の昭和16年5月のこと。第2次世界大戦により軍票※などの製造が必要となり、東京からの交通の便の良さや、酒匂川の伏流水から用水が確保できることから、酒匂村が新たな工場用地として選ばれました。
昭和29年、酒匂町(昭和17年に酒匂村から酒匂町に移行)が小田原市に合併されたことに伴い「小田原工場」に改称され、今に至ります。
〈敷地内には、酒匂工場設置当時から約40年間活躍した、抄紙(しょうし)機の一部が保存されています。〉
《桜は、地域の皆さんとの架け橋》
「小田原工場といえば、桜!」という人も多いのではないでしょうか。小田原工場の桜は、創業当時ボイラーの燃料として使っていた石炭を、使用後に箱根の道路補修に提供したお礼として贈られた桜の苗木が、始まりといわれています。今では、ソメイヨシノの他、八重桜やしだれ桜、河津桜もあります。
「観桜会」として桜の時期に構内を一部開放するようになったのは、昭和53年から。コロナ禍では開催を見送っていましたが令和5年から再開し、令和6年は約9700人に来場いただけました。開催は42回を数え、来場者総数は40万人を超えています。来場者に楽しんでいただけるよう「すかし」の技術を応用した手すき体験や、地域の皆さんによるマーチングバンド演奏などのイベントも実施しています。
※占領地に駐留する軍の物資調達などのために、政府によって発行された紙幣。
〈お城など小田原をモチーフにした「すかし」入りのはがきを作れます。〉
◆〔7月4日木曜日にオープン〕展示室をリニューアル!
映像やパネル展示などでお札について、楽しく学ぶことができる展示室。お札のデザイン変更に合わせ、リニューアルします。
参考:国立印刷局ホームページ
【HP】https://www.npb.go.jp/index.html
問い合わせ:広報広聴室
【電話】0465-33-1261
<この記事についてアンケートにご協力ください。>