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自治体の皆さまへ

自動運転バスが走る

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神奈川県平塚市

少子高齢化・人口減少などによって公共交通の持続性が課題となる中、解決策の一つとして期待されているのが「自動運転技術」。市は、2月2日(金)まで、自動運転バスの実証実験に取り組んでいます。

・車両搭載センサ
(1)前後左右にLiDAR(ライダー)(障害物や車両などの検知)
(2)望遠・広角カメラ(信号の色を検知する他、周辺環境検知の補助)
(3)ミリ波レーダ(側方の車両を検知)
(4)遠隔監視用カメラ高精度な3DマップとLiDARが得る情報を照合して、自車位置を推定し、走行軌道をなぞって自動走行します。

平塚市では市内で唯一の鉄道駅「平塚駅」を中心に、小田急線沿線駅などに向けて約70系統の路線バスが走っています。バスは市民生活に欠かせない公共交通です。
一方で運輸業界では運転士不足が深刻化していて、全国各地で路線バスの廃止・縮小が見られ、平塚市でも人ごとではありません。市全体のバス路線を今後も維持し、市民の移動手段を確保しなければなりません。そのために自動運転技術の導入が可能な路線に対して、バスの自動運転化を取り入れていくために、実証実験をしています

◆自動車メーカーが直接参画
本年度、全国の60自治体が国から自動運転実証実験の事業採択を受けています。そのほとんどは10人乗り程度の小型モビリティです。「平塚市での実証実験は、既存路線バスと同等の全長約11メートルで、いすゞ自動車が自動運転を前提に開発した大型バスを使用していることが特徴です」と、市交通政策課の廣永倫明(ひろながみちあき)主査は話します。自動車メーカーが直接参画して、自動運転バスの実証実験に取り組む例はあまりないと言います。1月19日には、地域公共交通のDX推進に向けて、神奈川中央交通・三菱商事・アイサンテクノロジー・A―Drive(エードライブ)・いすゞ自動車・平塚市で連携協定を結び、官民一体となって、安心・安全な自動運転バスの実用化に向けて取り組みを進めています。

◆三つのポイントを含んだ検証
静かでスムーズに走り出し、交差点付近ではスピードを落としてゆっくり進入、安全を確認して進んでいく自動運転バス。今回の実証実験は三つの検証ポイントがあります。

◇point1 既存バス路線の自動運転化
実証実験の運行ルートは平15系統で、平塚駅南口を出発して、すみれ平を経由し、平塚駅南口に戻ってくる、走行距離4・3キロメートルの循環路線です(本紙地図をご覧ください)。道幅、交差点の信号機の設置、交通量などを総合的にみて、道路環境が整備されているため、モデルルートとなりました。神奈川中央交通運輸計画部の富永勇輝課長は「『既存のバス路線を自動化する』ということにこだわって運行ルートを選びました」と話します。全ての路線を自動運転化する訳ではありません。自動運転を取り入れる路線、人が運転するべき路線を見極めるために、モデルルートでまずは自動運転レベル2の走る・曲がる・止まるを、しっかり自動で走れることを検証します。

・5段階の自動運転レベル
今回は、「レベル2」の実証実験です。運転席に人は座りますが、アクセル・ブレーキ・ハンドル操作は自動制御し、運転士は安全確認などの判断やシステムの対応範囲を超えた時だけ操作します。

◇point2 自動運転バスを見守る
遠隔監視将来的には、運転士が乗車しない自動運転バスの車内を誰かが見守る必要があります。今回の実証実験に合わせて、神奈川中央交通本社内に「遠隔監視室」を造りました。実証実験期間中に、バス車内を監視し、車内で想定されるお客様対応などを検証します。

◇Point3 交差点を安全にする補助システム
交差点に設置したセンサが検知する対向車や歩行者、自転車の位置・速度などの情報と、信号機に設置した装置による信号の色情報を連携させて、バスに送信し、交差点での安全な走行を支援する検証をします。これにより、バスに搭載しているさまざまなセンサが捉える情報を超えた、より広範囲の情報を連携することができ、安全性が高まります。

これらの検証でノウハウを蓄積して、ゆくゆくは、自動運転化できる路線では大型二種免許が必要となる運転士が乗車しないで運行する、自動運転レベル4を目指していきます。

◆持続可能な公共交通
富永課長は「人口減少など社会情勢を踏まえて、現行の輸送サービス水準を今後も継続していくことは難しいと思っています。そのため、小手先だけの改善ではなく、次世代モビリティのような先端技術を活用した新しい発想での取り組みが必要です。交通事業者・行政・地域の皆さまが一緒になって新しいサービスへの理解を深めていくことが持続可能な公共交通の実現につながると思います」と将来を見据えます。
自動運転レベル4の実現には、安心・安全な運行が必要です。今回の実証実験で検証をしっかりするのと同時に、自動運転バスに対する市民の理解を得て、人とデジタルが上手く共存共栄する、平塚市の公共交通を構築していきます。

問い合わせ:交通政策課
【電話】21-9840

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