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[特集]情報の見える化で生活を便利に ごみ収集×デジタル(1)

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神奈川県平塚市

市は令和5年12月から、ごみ収集車両運行管理システムを導入し、ごみ収集車の運行データの蓄積などを進めてきました。アプリと連携した、県内初の市民向け機能も公開予定です。本格始動した収集業務のデジタル化で、私たちの生活や現場の運用はどのように変わるのでしょうか?

◆市民の負担を減らす
「今回導入した、ごみ収集車両運行管理システムは、車両の位置情報、収集ルート・履歴などが把握できるシステムです。データの精査を進め、市民サービスの向上を目指します」と話すのは、市収集業務課の収集・分別推進担当長、石井清加寿(きよかず)さん。さまざまなごみ収集業務の課題を改善するために、市はデジタル技術を活用した「収集情報の見える化」に取り組んでいます。
課題の一つが排出時間のルール。原則、収集日の午前8時30分までと呼び掛けていますが、実際の収集時間は地域によって差があります。特に可燃ごみは、ごみネットなどでの対策が不十分だった場合、収集までの間に、カラスなどの被害に遭うこともしばしば。清掃などが地域の方の負担になっています。市には「収集時間の直前にごみを出したい」という市民からの要望も寄せられていました。
また、回収日の異なる不分別ごみがごみ集積所に出されていたり、不法投棄があったりすると、自治会などが中心となって、市に回収依頼などをしています。市は電話で、場所の特定やごみの状況を把握していたので、対応に時間を要していました。

◇便利な二つの新機能
システムを活用して、ごみ分別アプリ「さんあ〜る」に、生活に役立つ新しい機能が追加されました。一部地域を除き4月29日(祝)から、公開されるのが「収集目安時間の通知」です。「排出頻度の多い可燃ごみの収集目安時間を、お知らせできるようにしました。排出時間を強制するものではありませんが、参考にしてもらえたらと思います」と石井さん。「アプリで、最寄りのごみの排出場所を登録することで利用できます」と説明します。今後、収集時間が変更になる場合も、アプリが最新の目安時間を通知してくれます。
さらに、不法投棄などを簡単に通報できる機能も追加されました。通報はアプリを通して写真を撮って送るだけで完了します。「位置情報も写真データに連携されるので、電話で詳しく説明していただく時間を取らせません」。

◇可視化が急がれた
市がごみ収集業務のデジタル化に向け、調査研究を始めたのは令和3年末。同年4月に始めていたのが、可燃ごみの戸別収集でした。
戸別収集では、バケツやかごに入れたごみが自宅前に出されると、収集車が1軒ずつ回収します。各家庭では、排出場所までごみを運ぶ手間がなくなり、自治会などでは、排出場所を管理する負担が減ります。市では高齢社会を見越して、戸別収集する地域を段階的に広げています。令和6年3月現在、市内の約3割が戸別収集に変わりました。
しかし課題となったのが、収集側の負担です。集積所収集と比べ、収集場所・時間は増えていきました。その中で不法投棄の通報や収集漏れの回収依頼などは、変わらず対応が求められます。石井さんは、「通報や相談の電話は月平均350件を超えます。限られた人員で、今まで通りの収集業務を続けるには限界が出てきていました」と振り返ります。さらに状況に追い打ちをかけたのが新型コロナの流行でした。「急きょ休みになる作業員が増えました。収集ルートの管理は全て紙の地図だったこともあり、代わりの人が対応するには負担が大きくて……。ごみの収集業務における、さまざまな情報の可視化が急がれていたんです」と真剣なまなざしで語ります。

◆リアルタイムで共有
「システムが導入されたことで、事務所と現場の連携がスムーズになりました」と石井さんは改善点を語ります。市は衛星利用測位システム(GPS)機能のあるタブレット端末を55台導入。運行している収集車両に、端末を配備し、市役所別館にある事務所のシステムから、さまざまな情報をすぐに把握できるようになりました。また現場の作業員は、タブレット端末で写真を撮り、位置情報付きでごみの状況を共有できるようになりました。

◇環境に優しい収集
また、従来、紙の地図で管理していた収集ルートは、令和5年12月から進めてきた運行データの蓄積によって、明確になりました。「細かい道順などは現場の作業員しか分からない部分もありました。現在は、回収場所も全てタブレット端末で確認できるので、急きょ代理の作業員が回収することがあっても、収集漏れなどの心配がありません」と石井さん。「効率的な収集ルートが確立され、無駄な走行が減ることで、収集車からのCO2排出量の削減にもつながります」と続けます。
またペーパーレス化も環境に優しい変化です。地図や日報といった紙での情報管理がなくなりました。各収集車の作業員は、車両点検や、環境事業センターなどへのごみの搬入情報など、タブレット端末に入力するだけで完了します。紙が無駄にならないのはもちろん、作業効率やデータの管理も簡単になったのです。

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