◆現場での対応が確実に
収集業務課主任、川口毅さんは「システムのおかげで、現場近くにいる車両に現場確認を依頼できるので、一気に業務の効率が上がりました」と笑顔を見せます。今までは通報があっても、現場の作業員に指示が出せるのは収集車が事務所に戻ってきてからで、対応に時間がかかっていたそうです。
現場で活躍する同課の副技能主査、三川祐一郎さんは、「不法投棄は、分かりにくい場所にあることが多いんです。通報内容が書いてある伝票と紙の地図を見て探すのではなく、タブレット端末で現場までのルートも案内してもらえるので助かっています」と話します。
◇災害時の初動で活躍
今回導入したシステムは、災害時の活用も検討されています。例えば、収集中に大規模災害が発生した場合、タブレット端末を活用し、各地域の被害状況をすぐシステムで共有できます。「道路の損傷や川の増水など、収集を担当する地域をよく知る作業員だからこそ気が付く異変もあると思うんです。その情報を、位置情報付きの写真で確認できるのは強みです」と川口さんは期待を込めます。さらに、他の自治体からの支援を受ける場合にも、平塚のまちに不慣れな方に、適正ルートを案内できるタブレット端末の機能が役立ちます。
また、災害時は災害廃棄物への対応も急務です。みんなが自宅前にごみを出してしまうと、避難の妨げになる他、支援に来た車などが通れなくなってしまいます。「災害が起きてすぐに被害状況が確認できれば、災害廃棄物の仮置き場の位置も早い段階で設定できます。災害時もアプリを活用して、場所の周知ができたらと考えています」と力を込めます。「効率的で持続可能な収集体制」を目指す、市の収集業務のデジタル化は、平時だけでなく、有事の生活も支える準備が進んでいます。
◇通報を受け、すぐにシステムで情報確認
・通報現場に近い車両を探す
・車両が担当する地域の収集状況を確認。回収済みの場所は色が付く。対応を依頼しても通常の収集業務に影響がないか配慮している
※詳細は本紙をご覧ください。
◆人任せではなく自分ごと
・港地区自治会連絡協議会会長 陶山(すやま)正明さん
「不分別や不法投棄は、どの地域でも苦労が絶えない課題だと思います。各自治会や地域の方からもよく相談のある内容です」。市の廃棄物対策審議会の副会長や夕陽ケ丘自治会長も務める陶山さんは、地域住民や各自治会の声を近くで聞きながら、ごみ収集の課題と向き合い続けてきました。地域のごみ集積所で、缶とペットボトルが混ざったごみを自ら分別したり、市に回収依頼の電話をしたりと、その対応は1年中続きます。
陶山さんは、デジタル化で通報が簡単になり、地域全体の意識啓発につながることを期待します。「アプリを使って写真を撮るだけで、電話で説明していた、位置情報やごみの詳細が簡単に通報できるのは便利ですね」とほほ笑みます。不法投棄は生活に関係のない場所にされやすく、不分別ごみは人目の付かない時間帯に集積所に出してあることが多いとか。「誰でも気軽に通報できるということは、自分のモラル違反もすぐに見つかるということ。不法投棄や不分別を自分ごととして捉えてもらえるようになったらいいですね」。
◇正しいごみ出しの情報を知ってほしい
ごみの出し方など、地域住民に向けた意識啓発にも取り組む陶山さん。声を直接届けられるのは自治会の役員だけで、回覧板も見てくれない人が多いという状況に苦悩しています。自治会とつながりが薄くなっている学生や集合住宅に住む方にアプリの活用を促していきたいと力を込めます。「分別方法・各ごみの排出日・回収目安時間・変更事項など、アプリを開くと全て分かります。新機能が追加されたこの機会に、積極的にアプリをPRしていきたいです」。啓発はもちろん、「知らなかった」が原因の無責任なごみが減ることに期待を寄せていました。
「デジタル化で業務が効率化しても、担い手が増えるわけではありません。全て行政任せではやっていけないのです」と警鐘を鳴らす陶山さん。可燃ごみの戸別収集も、初めはさまざまな意見がありましたが、今では港地区の各家庭が、カラスや強風対策を工夫してくれるようになったそう。「新たな機能を活用しつつ、一人一人が自分の出すごみに責任感を持ってもらえるよう、今後も呼び掛けていきたいです」。
◆収集目安時間をアプリで通知します(一部地域を除き4月29日から機能公開)
「ごみ分別アプリ さんあ~る」
平成29年から運用しているスマートフォンアプリです。アプリ上の地図で自分の可燃ごみの排出場所を登録すると、収集目安時間が通知されます。すでにアプリを利用中の方も、排出場所の登録が必要です。さらに、ごみ情報(不法投棄・収集漏れ・ごみ散乱・路上小動物死がい)の通報機能が、今年3月27日から追加されています。今まで通り収集カレンダーや、市からのお知らせも確認できます。市ウェブ(2次元コード)からダウンロードできます。便利な機能を活用して、生活に役立てましょう。
※2次元コードは本紙をご覧ください。
(1)最寄りの可燃ごみの排出場所を登録
アプリのメニュ一覧から「設定」を選び、「地域設定」へ。大まかな地域だけでなく、マップから最寄りの排出場所を選べる
(2)ホーム画面などでお知らせ
アプリのホーム画面だけでなく、スマートフォンのロック画面などにも通知がくるように設定できる
◆ごみの量が増える大型連休 分別を徹底しましょう
アプリでは、ごみの分別方法の一覧表を確認できる他、約800種類の品名から分別方法を検索できます。中身が残ったスプレー缶やリチウムイオン電池などの分別は特に注意が必要です。不燃ごみに混ぜて出されたことで、収集車や処理場での火災も起きています。正しい出し方を確認しましょう。
問い合わせ:収集業務課
【電話】21-8796
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