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マイナ救急で搬送の迅速化(1)

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神奈川県平塚市

市消防本部では5月23日から約2カ月間、総務省消防庁と連携して、マイナンバーカードを活用した救急業務(マイナ救急)の実証事業をしています。全国67消防本部660隊が参加する中で、平塚市は最も早く事業を開始している市町村の一つです。この実証事業を通して、総務省消防庁では救急業務の迅速化・円滑化につなげるシステム構築を目指しています。

◆マイナ実証事業に期待
「救急隊が患者さんのマイナンバーカードを活用して、受診歴や処方薬などの情報を取得できれば、より早く・的確な救急業務ができるようになります」と実証事業に期待を込める、市消防救急課の宇佐美雅史さん。実証事業の対象は、救急隊が出場する全事案です。健康保険証の利用登録をしているマイナンバーカード(マイナ保険証)を持っている患者さんから、同意を得た上で、救急隊がマイナ保険証を専用端末に差し込み、医療情報を確認できるシステムにアクセス。必要な情報などを閲覧して、スムーズな搬送につなげます。意識不明などで本人の同意を得ることが難しい場合に限り、同意なしで閲覧することもあります。
実証事業の背景にあるのは、救急出場件数が年々増加しているのに比例して、病院収容所要時間も長びく傾向にあることです(下グラフ)。これは「現場滞在時間」が長くなっているのが影響しています。現場滞在時間とは、救急車が現場に到着してから、救急隊が患者さんの観察・必要な情報の聞き取り・救命処置などをして、搬送先の病院に向けて出発するまでの時間。現場で搬送先の病院を選定するのに必要な情報を、患者さんから聞き取ることに時間がかかると言います。宇佐美さんは「救急隊の役割は一分一秒でも早く、患者さんを医師に引き継ぐことです。必要な情報を聞き取ることは患者さんの命を守るために欠かせない、非常に大切なことなんです」と力を込めます。

・市の救急出場件数と病院収容所要時間の推移

◆誰もが慌てる救急現場
通常の救急搬送では、現場に到着した救急隊が、患者さんの名前などの基本情報や既往歴・受診歴・処方薬、かかりつけ医療機関などを、本人または家族などから主に口頭で聞き取ります。しかし、苦しんでいたり意識を失っていたりする患者さんや、高齢の患者さんから情報を集めるのは簡単ではありません。平常時であれば答えられる内容でも、慌てていたり緊張したりしていて、記憶が曖昧になったり分からなくなったりします。高血圧や心臓が悪いなどの持病は答えられても、飲んでいる薬の名前までは分からないということも実際にあると言います。「救急隊は口頭だけでなく、健康保険証やお薬手帳など、さまざまな物から情報を集めて、搬送先の病院を選定します」と、一刻を争う救急現場での現状を宇佐美さんは話します。

◆マイナ保険証を持ち歩き
救急隊がマイナ保険証を活用して、患者さんの正確な医療情報を早期に確認できれば、より早く搬送先の病院を選定でき、連絡ができます。連絡を受けた病院も患者さんに合わせた治療の事前準備に取り掛かれます。救急隊は必要な救命処置や観察も的確にでき、患者さんに寄り添った救急活動ができます。「もしもの時に備えて、マイナンバーカードの取得、健康保険証の利用登録、そして普段からの持ち歩きに協力をお願いします」。

◆マイナ保険証を使った救急搬送の流れ
119番通報を受け付けてから、病院への搬送までを追ってみました。

(1)119番通報入電
消防指令センターの通信指令員が、速やかに「どこで」「だれが」「どうした」のか、必要な情報を聴取。併せて、患者さんのマイナ保険証の準備を依頼。

(2)出場
救急隊が直ちに現場に向かう。

(3)到着
救急隊が現場に到着。患者さんのマイナ保険証を受け取る。

(4)情報収集
マイナ保険証をタブレット型端末に差し込む。名前や生年月日、既往歴や病院の受診歴、処方薬などの情報を、システムで閲覧。搬送する病院の選定・連絡、救命処置をして病院へ向かう。

(5)搬送
搬送先の病院に到着。医師に患者さんを引き継ぐ。

問い合わせ:消防救急課
【電話】21-9729

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