過去に例のない猛暑を警戒
頭痛や吐き気、けいれんの他、命の危険もある熱射病の症状を引き起こす熱中症。万全の対策をして、未然に防ぎましょう。今号では、危険な暑さへの国・市の対応や、自分や周りにできる対策などを紹介します。
◆指数で危険度チェック
暑さ指数は、気温・湿度・日射・風などからなる熱中症の危険性を示す指標です。危険度は5段階に分かれ、各段階で熱中症予防行動の目安があります。
◆熱中症警戒アラートが発表される暑さ指数33度以上の日数
警戒アラートの発表は令和3年4月から。平塚市は藤沢市辻堂(つじどう)の観測値を参照
◆急上昇した熱中症リスク
令和3年度から運用が始まった「熱中症警戒アラート」。暑さ指数(上表)が33度以上と予測されると、熱中症の注意を呼び掛けるために発表される情報です。暑さ指数33度を超える日が全国で増えています。平塚市が呼び掛けの基準にしている観測地点(藤沢市辻堂)でも増加傾向。令和4・5年度には、7月の時点で観測されるようになりました(上グラフ)。
熱中症リスクの高い日が増える中、国は令和5年4月に法改正し、警戒を強めました。今年4月に施行され、熱中症による重大な健康被害の恐れがある場合に「熱中症特別警戒アラート」が発表されることになりました(下囲み)。発表基準の一つが暑さ指数35度。辻堂では、過去5年で2回だけ観測された数値です。市健康課保健師の仲内萌華さんは「市では、昨年度まで暑さ指数28度以上のときに活用していた防災行政無線を、皆さんにより危機感を持って予防してもらうため、『熱中症特別警戒アラート』が出たときに限り活用します」と話します。「市公式LINEなどでは、熱中症対策などの発信を増やしていきます」。
◇湿度が高い日は危険
「気温が極端に高くなくても、雨の多い6月・7月は湿度が高いため、熱中症に注意が必要です」と話す仲内さん。「湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体に熱がこもりやすくなってしまいます」と続けます。熱中症の危険度を判断する暑さ指数を算出するときに、湿度の数値は7割を占めます。そのため同じ気温でも湿度が高い日の方が、熱中症のリスクは高まります。「エアコンを適切に使うなどして、湿度が上がらないように注意しましょう」。
◆負けない体づくり
市内の熱中症による救急搬送者数は7月が最多です(下グラフ)。搬送者数の急増は、外的要因に加え、体が暑さに慣れていないことも一因だと仲内さんは話します。「暑さに慣れていないと、体は発汗による体温調節がうまくできません。本格的に暑くなる前に、適度な運動で汗をかきやすくしておくことが大切です」。
また、日頃の体調管理も熱中症予防の基本。「十分な睡眠と栄養バランスの良い食事を取って、体調を整えておきましょう」と呼び掛けます。
・平塚市の熱中症による救急搬送者数(令和5年)
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