■こんな相談があります
▼家族だけでは困ることが増えたので状況を改善したい
▽背景
外出中に自宅が分からなくなり、警察に保護されたAさん。同年、軽度の認知症と診断される。翌年、同居家族が民生委員に「怒りっぽくなり困っている」と相談したことをきっかけに、地域包括支援センターに相談する。
▽対応
迷子になった経験から、Aさんの外出は週に1回近所を散歩する程度に減り、座って過ごすことが多くなっていた。意欲が低下し、発語が減っていたため、介護申請。現在はデイサービスを利用しながら意欲や生活機能の回復を図っている。
▼決心がつかない夫と支援を望まない妻
▽背景
夫と2人暮らしのBさん。認知症と診断されたが、治療せずに数年がたち、症状は進行。Bさんは外出拒否、食欲低下、失禁がある上に入浴を嫌がり不衛生な状態になる。困った夫が地域包括支援センターに相談する。
▽対応
最初の相談を受けて訪問した時は本人が拒絶、夫も決心がつかず先延ばしとなる。数カ月後、夫から連絡があり訪問すると、Bさんはソファに横たわって声掛けに反応しない状態。その場で救急搬送し、現在は入院先で療養している。
■みんなで支える認知症
認知症は「何も分からなくなる状態」ではなく、「記憶力や判断力が低下する」「感情コントロールが難しくなる」などの症状が日常生活に支障をきたす状態を指します。
認知症の人へのきつい口調や不親切な態度は、相手の自尊心を傷つける場合があります。認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らすためには、周囲の人の支援が必要です。正しい知識を身に付け、理解を深めましょう。
▽実践しよう!3つの「ない」
1.驚かせない
2.急がせない
3.自尊心を傷つけない
認知症だからといってこれまでの付き合いや関係性を変える必要はありません。しかし、認知症の人には「混乱」と「不安」が強い人が多いため、その人が置かれた状況をよく理解し、温かく見守る姿勢も必要です。3つの「ない」を実践した関わり方がとても大切になります。
▽受講しよう!安心の目印「オレンジリング」
市は認知症を理解し、サポートできる人の広がりを目指して、「認知症サポーター養成講座」を開催しています。認知症サポーターは「なにか特別なことをする人」ではありません。まずは正しく知ること、他人事ではないと考えることから役割が始まります。
同講座は年2回の開催と、自治会や企業などからの依頼に応じた出前講座も行っています。認知症について正しく理解する支援者が多くなると、認知症の人やその家族がより安心して暮らせる環境も広がります。
認知症サポーターの活動を始めてみましょう。講座修了者には認知症サポーターの目印「オレンジリング」と「オレンジカード」を進呈します。
▽認知症の母と同居する大﨑さんに聞きました
気を使わないから笑顔でいられる
母は元々1人暮らしをしていました。弟の妻が「最近、様子が変だよ」と連絡してくれたので、認知症に早く気付くことができました。覚悟していたので大きな動揺はなかったです。同居を決意したのは、電気ポットをガスコンロにかけた時。火事の危険を感じてね。
症状は少しずつ進行しているなと肌で感じています。最近は数秒後に忘れることもあってイライラしてしまうこともあります。「あんた誰?」と言われる日が来るかもしれないけど、認知症は病気だからね。特別に気を使ったりすることもないし、自分の時間も大切にしています。体を動かしたり飲みに行ったりもするから、息抜きにはなっていますね。
近所の人も理解してくれているから、一緒に散歩に行くと声をかけてくれるので安心です。母はもうすぐ94歳になるので、100歳まで生きてほしいですね。本人が希望するので、家族としてもできる限り家で過ごしていきたいです。
▽チームオレンジが発足!
認知症の初期段階から地域で支援を行うために国が制定した「認知症施策推進大綱」に基づき、ことし4月に市内初の「チームオレンジ」が発足しました。チームオレンジは、認知症サポーターを中心に構成し、地域で暮らす認知症の人や家族の支援を行います。
問合せ:地域包括ケア推進課
【電話】046-235-4950
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