今月開催される大文字焼は、箱根町を代表する三大祭りの一つとして、毎年夏の夜空を鮮やかに彩ります。「大」の一文字が浮かび上がる瞬間は、多くの人々を魅了し、その壮大な光景は町の誇りでもあります。毎年変わらぬ美しい光景は、多くの方々による熱意と努力によって支えられています。
今月の特集では、大文字に火を灯すと同時に、お祭りを通して地域にも活気を灯す〝宮城野青年会〟にスポットを当て紹介していきます。
■伝統を灯し続けるために
毎年8月16日に、お盆の送り火として明星ヶ岳山頂に灯される「大」の一文字。大文字焼の準備は簡単ではありません。2か月前から山頂までの道のりを何度も往復し、草刈りや、タイマツとなる、シノダケを刈り、乾燥させ束ねる作業は、体力と根気を必要とします。
■青年会とは
青年会とは、地域社会に深く関わる組織です。その前身は中世から江戸時代にかけての「若者組」と呼ばれる、村落内での若者で構成された集団になります。戦前には〝行政の補助的機関〟として重要な役割を果たしていました。戦後、1950年代や60年代においては、生活の近代化に伴う地域課題に取り組み、まちづくりへとその活動を進めてきました。
■青年会活動を通して
まちづくりに取り組む青年たちは、仲間とともに「住みたくなる町」を描き、その中に自らの将来を重ねています。
現在の青年会も祭りやイベントの運営を通し、地域コミュニティ活性化に繋がる、まちづくりの役割を担っています。このような取り組みを通じて、地域の産業や自治の担い手として成長していきます。
■「たくさんの協力があって伝統が守られている」
宮城野青年会は、年々担い手不足が進行しています。(現在2人)それでもなお、昔と変わらない形で箱根強羅温泉「大文字焼」を支えています。そのなかで、宮城野青年会会長として祭りを支えている「三浦欣大」さんにお話しを伺いました。
◇青年会に入った経緯は?
6年前に先輩に誘われて大文字焼の準備のために山を登ったのがきっかけです。そこから現在まで青年会として活動しています。
◇入った当時と今では変化がありますか?
初めて登った時は付いていくのがやっとで、もちろん体力的にもつらかったんですが、当時は青年会のメンバーも多くて、お祭り当日や準備を手伝ってくれる人員を確保しやすかったように思えます。
ですが、今は当時と変わらない「大文字焼」を開催するために準備ももちろん大変ですが、まず人員を集めるのが大変で一番苦労してます。
◇青年会が少ない中どのように人員を確保してますか?
まず、横の繋がりで何とか集めていて、たくさんのOBを始め、なかには初めて来てくれる方もいます。
また、箱根強羅観光協会が協会員や有志の方々に声を掛けていただいて、6月後半から7月の隔週水曜日に、各回約40人もの方々に準備をお手伝いいただいているのが現状です。
さらに、宮城野青年会だけでなく町全体で青年会のメンバーが減っているので、ひと昔前ではあまりなかった、仙石原地域や箱根地域などの青年会とも協力をして、お互いのお祭りを支え合っています。今回の準備にも他地域の青年会も協力してくれています。
他にも、歴代の宮城野青年会長と箱根強羅観光協会で構成された大文字焼保存会という組織が、OBへの挨拶回りなど青年会の負担減少のため、さまざま場面で支えてもらっていることで、何とかお祭りを運営できていると思います。
◇青年会の募集状況を教えてください。
今は、あまり応募がなく、青年会のメンバーも減少傾向にあるのが現状ですが、僕も先輩に教わったように、この伝統ある大文字焼を途絶えさせずに次の世代へ繋いでいきたいので、何とか青年会のメンバーを増やしていきたいと思っています。
◇最後に大文字焼にかける思いを教えてください。
青年会のメンバーが減少している中で、本当に〝たくさんの協力があって伝統が守られている〟(お祭りが開催できている)と実感しています。青年会としてはメンバーも減って苦しい状況ではありますが、お祭りなどを通して地域を盛り上げていきたいと思いますので、これからもご協力お願いします。
青年会の大黒柱
三浦欣大(miura kinta)さん
今年から宮城野地域の青年会長として、お祭りやイベントを通して、町を盛り上げています。
■大文字焼保存会
◇保存会とは?
宮城野青年会の会員減少のため、歴代の青年会長と箱根強羅観光協会で構成され、持続可能な伝統継承の行事とするために、発足されました。
◇主な活動内容
作業効率化を図るとともに、青年会の負担減少を担うなど、現役の青年会のバックアップをしています。また、過去の慣例作業を保存会が検証して見直しています。
◇未来の大文字焼を見据えて
令和3年に大文字焼100周年を迎え、100年前に「大文字焼」を始めた先代方々に感謝し、次の100年に向けて箱根強羅温泉「大文字焼」が継続できるよう、一丸となり取り組んでいます。その一環として、箱根強羅観光協会は100周年を機に、協会員や有志の方々で6月後半から7月の隔週水曜日に、各回約40人が草刈り等の作業を行っています。
◇保存会に少しでも興味ある方はこちらから!
問合せ:箱根強羅観光協会
【メール】info@goura-kanko.jp
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