■三日坊主は当たり前⁉~「行動する体力」を高めよう
平均寿命が伸び「人生100年時代」が到来するといわれる現在、人生を長く楽しむためにも、健康で長生きするための食生活や運動習慣の獲得などが大切になってきています。
今月の特集では、少しでも健康で人生を楽しむための健康づくりについてご紹介します。
教えて山次先生!
福井大学
山次 俊介(やまじ しゅんすけ)准教授
健康で長生きするために必要なことを勝山市の健康づくり事業にご協力いただいている山次先生に伺いました。
◇「生存する体力」と「行動する体力」
人の体力には「生存する体力」と「行動する体力」の二つがあります。「生存する体力」とは、ウイルスや細菌から身を守る力や寒暖に対して体温を一定にする力など外部のストレスから身を守る力です。一方、「行動する体力」とは行動を起こす力(筋力やパワー)、持続する力(スタミナ)など体を動かすための力です。私たちは科学や医学の発展によって「生存する体力」を高めることに成功し、平均寿命は飛躍的に延伸しました。一方で、「行動する体力」は科学や医学の力では高めることができず、運動の時間を自分で作らない限り、「行動する体力」は高められにくくなっています。
私たちの体は「使えば使っただけ強くなる」が「使わなければ弱くなる」という原則で維持されているので、加齢とともに低下する体力に備えて貯金しておかなければなりません。でも、多くの人が貯金しなければと痛感するのは、足腰が弱ってきたり、だんだんと日常生活における動作が困難になるくらい「行動する体力」が低下してからです。
「生存する体力」は医学によって維持できるので、「行動する体力」が低下しても日本人の場合、介護・寝たきり状態になっても平均9~12年は生き続けられます。この期間を0にすることはできないにしても、少しでも短くするように生活習慣を変えてみましょう。
◇三日坊主になるのは当たり前
人の脳の性質は、「新しいことを取り入れたり、日々の生活習慣に大きな変化を起こすこと」にストレスを感じるようにできています。ストレスを感じると体は無意識的に拒否反応を示します。ダイエットが成功しないのも同じです。無理な食事制限や運動をストレスと感じて体が拒否反応を示すからです。いくら健康的な生活習慣を実践してもストレスを感じると三日坊主になります。無理な活動はやめましょう。運動という健康に効く薬は、『ご飯』と同じようなものです。ご飯を一日にたくさん食べたとしても、それ以降食べなければ餓死します。毎日適切な量を食べなければなりません。したがって、運動は毎日、または定期的に実践してもストレスを感じない、むしろ楽しいと思うものを取り入れてください。
■データで見る「健康寿命」と「平均寿命」
福井県健康政策課統計によると、県内の男性と女性の「平均寿命」と健康で活動的に暮らせる期間である「健康寿命」を比較した場合、男性で1・5歳程度、女性で3・3歳程度健康寿命が短くなっています。
資料:福井県健康政策課統計
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