■早期アルツハイマー型 認知症診断支援システム
福井勝山総合病院
放射線科 植松秀昌
高齢化に伴い認知症患者が増加しています。最も多い原因がアルツハイマー病です。アルツハイマー病は異常タンパク質が脳に蓄積、神経細胞が死滅し、脳が徐々に萎縮して発症します。
アルツハイマー病は側頭葉の海馬と呼ばれる場所から脳萎縮が始まり、徐々に萎縮範囲が広がっていきます。アルツハイマー病のかなり進行した状況ではCT、MRIの画像から海馬の萎縮がはっきりと認識できますが、早期では海馬の萎縮は軽度であり、視覚的に萎縮程度を判断するのは困難です。
早期アルツハイマー型認知症診断支援システムであるVSRAD(ブイエスラド)は患者さんの脳のMRI画像を同年代の健常者の画像と比較して、統計学的な解析を行い、海馬の萎縮程度を数値化するソフトウエアーです。
健常者ではこの数値が1・0以下ですが、この数値が2・0を超えるとアルツハイマー病の可能性が高いと判断されます。
アルツハイマー病の診断は専門医による問診、診察、脳の萎縮程度を踏まえて総合的に診断されます。
福井勝山総合病院でも専門医の依頼に応じて頭部MRI検査にVSRADによる解析を追加しています。お心当たりのある症状をお持ちの患者さんは担当医師にご相談ください。
◇アルツハイマー病の可能性が高い方の画像
側頭葉は萎縮しており、わかりやすいように萎縮範囲が赤色で着色されています。VSRADの解析では数値が8.87と2.0を大きくこえており、アルツハイマー病が疑われます。
◇健常者の画像
側頭葉の萎縮は認めず、VSRADの解析でも数値は0.9と2.0以下であり、正常と判断されます。
※詳しくは本紙をご覧ください。
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