自治会運営の中心となる「役員」といわれる人たちは、どんな思いで自治会に向き合っているのでしょうか。春江町春日野区を訪ねました。
■「どうせ」よりも「せっかくだから」
◆無理なく担える仕組みに
▽皆さんの役職は。
山本:現副区長で、来年区長になります。
村上:会計です。
文珠四郎:相談役です。
▽春日野区は住宅団地というイメージがあります。戸数が多いので、区の運営は大変ではありませんか。
山本:春日野区は春江町大石地区にあって、区になってから50年が経ちます。12班280世帯という大所帯ですが、何といっても結束力が自慢です(笑)。
▽皆さんは、何年も役をなさっているのですか。
山本:春日野区の役員は各班長や民生委員など39人いて、副区長になった人が翌年は区長に、その翌年には相談役に、という仕組みになっています。経験者が、次の役員をサポートする体制なので、困ったときには気軽に相談できるし、気付いたことはアドバイスできるのがいいですね。
文珠四郎:私なんてもう歳やけど、区の集まりに来ると若い人らに頼られるでうれしいね(笑)。
村上:役員には、立候補もできますが、区民から推薦されることが多いですね。僕ら3人は推薦組です。
▽自治会は、皆さんにとって活躍の場なんですね。
山本:ほやね。今はこうして役員として自治会に関わっていますが、正直なところ、それまでは自治会活動にはほとんど関心がなかったというか、まったく参加していませんでした。だから、役員になった当初は知らないことばかりで、とにかく不安でしたね(笑)。
でも、経験者が必ずいることや、他の役員たちと助け合える結束感があって、逆に安心しました。この仲間となら、この地区のためなら、がんばりたい、良い地区にしたい、という気持ちに自然となるんです。
◆顔を合わせるきっかけを
▽結束感、いいですね。
山本:ほや、今年の秋祭りは、楽しかったなぁ!
村上:50周年と5年ぶりが重なった開催だったんです。途中から雨が降り出したんですが、子ども神輿に区内の中学生や高校生が、担ぎ手として参加してくれたのが、うれしかったですね。同級生同士、声を掛け合っているのを見て、子どもたちも自治会の行事を楽しみにしてるんだなぁ、と。
文珠四郎:高齢の人も、たくさん来てくんなったでの。足腰の弱い人も、家族や近所の人がサポートしてくんなって、みんないい笑顔やったの。
山本:大人も子どもも、声をかけても「どうせ」誰も出て来んやろ、ではなく、「せっかくやで」声かけてみんなに来てもらおっさ、という感じ。交流の場に、話をしなくてただ居るだけでも楽しいし、顔を合わせることで、少しずつ人とのつながりや絆もできていくと思うんですよ。いざというときに助け合えるのは、一番身近な自治会ですから。僕ら役員は、区民同士のつながりづくりを後押しする係。せっかくその役を担うんだから、春日野区に住んでいてよかったと思ってもらえるように、区民の皆さんが安心して暮らせる地区になるように、自治会を盛り上げていきたいですね。
役員も一人の住民に変わりありません。一人一人、何かの役割や活躍できる場があるからこそ、自治会に参加したいという気持ちや連帯意識が育っていくのではないでしょうか。
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