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ふるさと昔 よもやま話(145)

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福井県美浜町

■復活する民俗文化財~三社の王の舞~

去る4月8日、若狭町気山に鎮座する宇波西神社において、例大祭が執り行われました。
宇波西神社の氏子集落は美浜・若狭両町にまたがる形で三方五湖周辺に広がっており、美浜町民にも関わりの深い神社と祭礼です。
今年の宇波西神社例大祭には、特別な意味がありました。いや、「特別でなくなった」が正しい表現かもしれません。振り返ると、令和2年の春に新型コロナウイルスの感染が国内で確認されてから、さまざまな社会活動が停滞してしまいました。
このような情勢の中、取り分け大きな影響を受けたのが、お祭りを含む地域の民俗行事であり、全国的に中止や最低限までの縮小を余儀なくされました。宇波西神社の例大祭も例外ではなく、限られた人数が参列する神事のみ執り行われ、国選択無形民俗文化財に指定されている王の舞を含む芸能も4年にわたり、奉納は見送られてきましたが今年、久しぶりに平時と同じ形で実施されたのです。
例大祭の当日、各氏子集落から子どもたちを含む多くの人々が集い、出店が並ぶ賑やかな光景も復活しました。
赤い鼻高面と衣装に、鉾を持ち舞う王の舞は、海山・北庄(共に若狭町)と大藪・金山の計4集落により、持ち回りで奉納されています。休止期間中に順番がちょうど一周したため、今年担当した大藪区が王の舞を演じるのは実に8年ぶりのこととなりました。
宇波西神社の王の舞は、集落毎に舞い方やお囃子が少しずつ異なり、舞い手を倒すとその年は豊作豊漁となると言われ、押し倒そうとする見物人と舞い手を守る警護役とのせめぎ合いが行われることが特徴です。
また、浦安の舞や獅子舞、田楽の披露も同じく4年ぶりに執り行われました。
一方、弥美神社と織田神社の例大祭は一足早く去年から王の舞の奉納が復活しており、今年の宇波西神社例大祭を以って、この春美浜町民が演じる3社の王の舞が勢揃いしたこととなります。
コロナ禍によるこの数年間の空白期は、民俗文化財のターニングポイントとして今後どのような影響を与えることとなるかは分かりません。しかし、昨今全国的に継続を断念する民俗行事が多くある中で、関係される方々のご尽力により、各地で伝統的な神事芸能が復活していることは、とても頼もしい出来事です。
また、菅浜の精霊船送り等各地の民俗行事も再開しつつあります。存続への原動力となりますので、是非地域の伝統行事へ足を運んでいただければ幸いです。

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