◆今、私たちができること
環境省の重要湿地に選定されている千鳥ヶ池は、かつて希少な水生昆虫が生息していたものの、都市化に伴う周辺開発や富栄養化などの環境変化で、数種が絶滅してしまったと考えられています。
千鳥ヶ池を再生できるのか、また今でもわずかに残る希少種たちを増やすことは可能なのか?そのために私たちができること、知っておくべきことは何なのか?専門家である中島博士に聞いてみました。
▽中島 淳(なかじま じゅん)博士のコメント
福岡県保健環境研究所 専門研究員
一昨年のキボシチビコツブゲンゴロウの大発見に続き、昨年も観察会の最中に、3種もの絶滅危惧種を千鳥ヶ池で発見できました。これはとてもうれしいニュースで、今後、千鳥ヶ池をきちんと再生していけば、またかつてのように水生昆虫の楽園を取り戻せる可能性があるということを示しています。
再生の具体的な進め方としては、岸辺のエコトーン(陸域と水域の間の浅い湿地帯)をかなり大胆に手入れするとよいでしょう。穴を掘る、草を刈る、なだらかな斜面を造るなどの変化を定期的に加えることで、生き物の減少を防ぐことができます。また、空を飛んで移動する水生昆虫類のため、各家庭の庭などに小さな「湿地帯ビオトープ※」を造成すると、移動中の休憩場や一時的な繁殖場を提供できるかもしれません。
近年、人間が生物多様性を破壊し過ぎて、生態系のバランスが崩れてしまったことに関するニュースを見聞きします。国は「生物多様性国家戦略」で、自然生態系の損失を食い止め回復させる「ネイチャーポジティブ社会の推進」を掲げました。県内屈指の重要な場所・千鳥ヶ池がもっと豊かになるような取組を、みんなで協力して進めていければと思っています。
※湿地帯ビオトープ:「生き物の生息場」を意味するビオトープのうち、特に池や湿地などの水辺や、エコトーンを含めたエリアを含む中島博士提案の造語。
◆次代につなぐ古賀の自然環境
アサリが取れなくなった、サケやサンマの漁獲量が減っているというニュースを覚えている人がいるかも知れません。一つひとつの環境の破壊や生物の絶滅が、人間の役に立っている多くの生物の絶滅につながっています。
国が掲げる「ネイチャーポジティブ」は、10年後の生物多様性が今よりも豊かになるようにしよう、というものです。難しく考えず、庭やベランダに小さな湿地帯ビオトープを作ってあげるだけでも、問題の解決に貢献することができます。
たいせつな古賀の自然環境を未来に残していくためにも、今私たちにできることからはじめてみませんか。
・湿地帯ビオトープ(職員自宅の庭)
身近なところでも多様性が…
・プラスチックコンテナで簡単にできます。いつの間にかアメンボやトンボ、ドロバチが遊びにきていました。
※詳しくは広報紙をご覧下さい。
問合せ:環境課
【電話】942-1127
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