■梅毒の感染がひろがっています
令和5年の梅毒の感染者数は1万4千906人と報告され、現行の制度で統計をとりはじめてから最多の患者数となりました。
▽梅毒とは
梅毒トレポネーマという病原体による感染症で、人から人に感染し、全身にさまざまな症状を引き起こします。口や性器などの粘膜や皮膚から感染するため、性的な接触が主な感染経路です。発症しても症状が軽いことや一時的に消える時期があるため、感染に気づきにくく、治療の遅れや感染拡大につながりやすい危険な感染症です。しかし、早期に適切な治療を受ければ完治できます。疑わしい症状や心当たりがあるときは、すぐに検査を受け、早期発見・治療を心掛けましょう。
《おもな症状》
・I期(感染後約3週間)
陰部や口唇、口腔内、肛門などにしこりや潰瘍ができたり、股の付け根の部分のリンパ節が腫れたりすることもあります。この時期は特に他の人に感染させやすい時期です。痛みがないことも多く、治療しなくても症状は自然に軽快するため「治った」と勘違いしがちですが、体内から病原体がいなくなったわけではありません。
・II期(感染後数カ月)
治療せずに3カ月以上たつと、病原体が血液で全身に運ばれ、手のひらや足の裏、体全体に赤いバラ疹が出るなど、皮膚のトラブルが起きることがあります。治療しなくても数週間以内に消えることもありますが、適切な治療を受けなかった場合、感染後数年から数十年の間にさまざまな臓器障害につながる可能性があります。
・晩期顕性梅毒(感染後数年から数十年)
感染後数年経過すると、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍が発生することがあります。また、心臓などの臓器や血管、脳など複数の臓器に変異が生じ、場合によっては障がいを残す可能性があります。
▽検査を受けるには
梅毒にかかっているかどうかは、医師の診察と血液(抗体)検査で判断します。筑紫保健福祉環境事務所では、毎週火曜に無料・匿名で検査を受けることができます。保健所での検査を希望する場合は、【電話】582-2522へ電話して「性感染症検査を希望する」と伝えてください。医療機関で検査する場合は、そのまま治療を受けることができます。詳しくは受診する医療機関へ確認してください。梅毒を含む性感染症の検査・相談施設などは、ウェブサイト「HIV検査相談マップ」で検索できます。
▽生まれてくる赤ちゃんを梅毒から守るために
妊婦さんが梅毒に感染していると、おなかの中の赤ちゃんが先天梅毒になるリスクがあります。感染した赤ちゃんは、生まれたばかりでは無症状のこともありますが、生後数カ月以内に発疹や骨に異常が出ることがあるほか、数年後に目の炎症や難聴などの症状が出ることがあります。妊娠の早い時期で分かれば早期の治療で赤ちゃんへの感染リスクを下げることができます。初期の妊婦健診には梅毒検査が含まれていますので、妊娠したら必ず妊婦健診を受診しましょう。
参考ホームページ:政府広報オンライン、日本産婦人科学会
子育て支援課 保健師
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