■38%
あなたはこの数字がなにを示しているか分かりますか?
これは、昨年市内で発生した交通事故のうち、高齢者が関連した割合です。年々増加しているこの割合。どうすれば交通事故を防げるでしょうか。
◇直方警察署管内における市内での交通事故割合
令和2年 24%
令和3年 27%
令和4年 28%
令和5年 30%
◇市内の交通事故のうち高齢者の割合
令和2年 36%
令和3年 32%
令和4年 37%
令和5年 38%
身近に起きる交通事故の原因は何なのか。
事故に遭わないために、運転手、歩行者がそれぞれ気をつけるべきことを、交通のスペシャリストが話します。
■直方警察署 交通課 課長 北尾 寿一(きたお じゅいち)さん
[プロフィール]
昭和57年福岡県警に拝命。
平成20年から交通課長として、若松警察署や小倉北警察署などを経て、現在は直方警察署で勤務。趣味は家庭菜園で、さくらんぼやぶどうを育てている。59歳。
◇日頃の心がけが大事
「交通事故は、誰もが起こす可能性があり、日頃の心がけが大事です。例えば、なるべくバックしないとか。後ろが見えづらいと非常に危険ですよね。だから、商業施設などの広い駐車場では、前後が空いている駐車スペースに車の頭から駐車する。それだけでも事故を起こす確率は減らせます」。
そう話すのは、直方警察署交通課長の北尾さん。これまで十五年以上交通課長を務めています。そんな交通のスペシャリストが、宮若市内で発生する交通事故について分析してくれました。
「市内の交通事故でいうと、高齢者が関係する割合は、県内平均よりも高いんですよ。年間の交通事故件数は減っていても、高齢者の事故は年々増えていっています。原因の一つが、年齢を重ねるにつれて、交差点での右左折の判断などが遅くなることです。この判断が遅れると、事故は起きやすくなります。
交通事故を起こさないためには、交通量が多い時間、場所はなるべく『乗らない』『通らない』を日頃から心がけてください。他にも、『スピードを守る』『ながら運転をしない』『信号や標識に従う』など、法律で決められていることをしっかり守るとか。私たち一人ひとりが行動を見直し、日頃から注意を払うことが大切です」。
◇右見て、左見て、右見て 真ん中まできたら左を見る
「実は、歩行者が道路横断中に遭遇する事故の九割が、歩行者から見て左側の車との衝突によるものなんです。運転手からすると、車の右側は対向車も走っているので、人は飛び出して来ないだろうと、思い込みで右側をよく確認せずに運転している人が多いんだと思います。だから、運転手は『対向車がいるから大丈夫』と過信せず、しっかり自分の目で見て確認することが大切です」。
道路横断中の交通事故について話してくれた後に、こうも話します。
「運転手だけでなく、歩行者も気をつけることがあります。横断歩道を渡るとき、『右見て、左見て、右見て渡る』私たちは交通安全教室ではこう教えています。しかし、先ほども話したとおり、歩行者から見て左側の車との衝突が多いので、『道路の真ん中まで来たら、もう一度左を見る』ここまでがセットだと思います。
歩行者は、車が止まってくれるだろう、自分の存在に気づいているだろうと思い込んではいけません。運転手も人間だから、気づかないこともあります。手を上げて横断歩道を渡ったり、夜は反射板を身に付けたりするなど、いかに自分の存在をアピールできるかが大切です」。
◇自分の命は自分で守る
「今年の一月には、市内で高齢ドライバーの死亡事故も起きました。宮若で生活する人にとって、車を使わないことは難しいと思います。
高齢ドライバーの事故を防ぐことを目的に、直方警察署とトヨタ自動車九州が協力して、シニアドライビングスクールを行っています。市内の六十五歳以上の人を対象に、車の死角体験や飲酒状態の疑似体験、駐車支援機能といった最新の安全性能などの体験を実施しています。座学だけでなく体験もできるので、自分の運転を見直す良いきっかけになるのではないでしょうか。
日頃の心がけによって、未然に防げる事故もあるってことを、皆さんに知っててほしいですね。自分の命は自分で守るしかないんです。一つしかない命ですから大切にしないといけないですよね」。
みなさんが安全に生活できるよう、市でも運転免許証の返納支援や通学路の点検などを行っています。
これを機に、事故のない宮若市を一緒に目指しませんか。
■高齢者運転免許証自主返納支援事業
高齢者による交通事故の減少を目的に、全ての運転免許証を自主返納した70歳以上(免許証返納時の年齢)の人に支援を行っています。
令和5年4月にスタートした事業ですが、1月末までに35人もの人が申請しています。運転に不安のある人は、この機会に返納を検討してみませんか。詳細は、市公式ホームページをご確認ください。
※免許証の返納は、市役所では行えません。直方警察署や自動車運転免許試験場にご相談ください。
支援内容:タクシー利用券、市乗合バス回数券、nimocaのいずれか5,000円分(nimocaは補償金額を含む)
問い合わせ:本庁高齢者福祉係
【電話】32・0515
■通学路交通安全プログラム
市教育委員会では、児童・生徒が安心して通園・通学できるよう、学校や保育園、直方警察署、道路管理者などの関係機関と連携して通学路の安全対策を行っています。
毎年、学校などから提供された通学路の危険箇所の情報を集約し、関係機関とともに現地で合同点検を実施。点検結果をもとに、横断歩道やカーブミラー、標識の設置などを行ってきました。また、ハード面での対策だけでなく、各学校での交通安全指導の実施や、登下校時間帯にあわせた警察の取り締まり強化など、子どもたちの命を守るためのさまざまな取り組みを実施しています。
問い合わせ:本庁教育総務係
【電話】32・1007
■いのちを守るトピックス
◇交通安全教室
2月2日、若宮幼稚園で交通安全教室が行われました。
4月から小学生になる年長さんを対象に行われたこの教室。トヨタ自動車九州株式会社の指導の下、園児たちは歩道と車道の違いを学んだ後に、教室にセットされた信号機と横断歩道で渡り方を体験しました。
子どもたちは、壁などの障害物で、車が見えないときの対処方法を学び、「ここだと見えないよ」「こっちに立ったら見えるよ」と、話していました。
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