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歴まちコラム ~歴史と文化のふる里探訪~

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福岡県添田町

■添田町自慢の景観を守るために
町内には、雄大な自然や清流に育まれた田畑や英彦山の山岳信仰に由来する歴史や文化などが積み重なり〝添田町らしい〞景観が残されています。今回は町の景観に関するお話しです。

令和4年度に町民1000人に行ったアンケートで、回答者数のうち8割が「自慢できる景観がある」と感じており、その景観とは季節感が感じられる自然や、山々の風景などが挙げられていました。このような景観は、先人達が大切に守り継いできたもので、その姿は江戸時代の英彦山で見ることができます。
英彦山では山伏たちが自然豊かな山を守る取り組みを行っていました。かつての生活では、山に育つ木々は建築材料から身近な道具、日常で使う薪など、色々な物に利用されていた分、伐採量も多かったことが想像できます。そのため、全国の山ではむき出しの山肌が目立っていたようですが、英彦山では毎年3月6日に山伏一人につき杉100本の植林を行い、生活の資源となる木材の確保とともに山の美しい景観の保全に努めていました。また、1か月のうち14日と月末の日には必ず清掃活動を行い、馬屋へ肥料を運び込む時は俵に入れて、肥料が散らないように工夫するなど、山内の美しい景観の維持にも努めています。さらに住居に防火用水として造られていた庭園は、英彦山へ参拝に来た人をもてなす場として利用し、山内の美しい景観を形成する一つとしていたようです。それ以外にも、敷地内にはキンモクセイなどを植えることが奨励されていたようで、住居が建ち並ぶ参道は秋になるとほのかに甘い香りが漂い、幻想的な雰囲気に包み込まれていたことでしょう。
町では先人達が守り育ててきた景観を、次世代へ誇れる財産として引き継いでいくことを目指し、「添田町景観計画」を策定しました。詳細は、町ホームページでご覧いただけますが、この計画では町民一人ひとりが主役となり、みんなで景観づくりに取り組むことを目指しています。今後も、添田町の「自慢できる景観」をみんなで守り育て、未来の子どもたちへ繋いでいきましょう。
文・西山紘二学芸員(商工観光振興課歴史文化財係)

参考文献:『彦山編年史料近世編』廣渡正利(平成15年)

問合せ:役場商工観光振興課歴史文化財係
【電話】82-1236

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