■全筑後水平社創立100周年を迎えて~差別の撤廃に向けた取り組み~
▽さまざまな人々の協力で広がる運動
全国水平社は、1922年に被差別部落の解放を目指した最初の自主的組織です。全国水平社創立の翌年に立ち上がった全筑後水平社は、2023年で100年を迎えました。
全筑後水平社結成大会を開催するにあたり、会場の提供など、さまざまな人の支援や援助がありました。この大会には、農民組合の代表も訪れ、祝福しました。さまざまな立場の人々の協力もあり、久留米市の「恵比須(えびす)座」には500人ほどが集まったそうです。
このような「みんなの力で差別を無くそう」という機運の高まりが、現在、市でも取り組んでいる「人権のまちづくり」にもつながっています。
▽自分事として考える
市内の学校では、小学校から人権について学び始めます。その中で、さまざまな人権問題と出会い、時には当事者の話を聞きながら、身近な問題として捉えることができるような工夫がされています。
取り組みの一つに、夏休み質問教室があります。夏休み期間中、希望する子どもたちを対象に、学校ごとにテーマを決め人権学習を行います。筑後北中学校区内の小学校では、同教室の期間中、学校間を超えてグループを編成し、学んだことを他グループや中学生、保護者に向けて発表します。今年は、「解放の父 松本治一郎」について学び、部落差別のおかしさや人としての強さや優しさについて考えるなど、自分たちの身近にある差別に気づくきっかけづくりとしました。
他にも、7月の同和問題啓発強調月間や12月の人権週間には、多くの学校が人権学習の授業に取り組んでいます。水田小学校では、毎年12月に人権劇を発表し、地域・保護者への啓発活動にも貢献しています。
市でも、「筑後市同和問題・人権啓発推進大会」や「人権セミナー筑後」、「筑後市人権を考える市民のつどい」などを実施しています。そこで得た知識や経験は、人権課題を自分事として考えるきっかけになります。
▽人は尊敬すべき存在です
水平社宣言は、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」という言葉で結ばれています。差別を受けてきた自分たちだけでなく、全ての人の解放を願うこの言葉は、100年の月日を経た今もなお輝きを放っています。
差別はその人の存在を否定し、傷付け、人と人との関係を断ち切る行為です。否定された人は、自尊心や自己肯定感をなくしてしまいます。
人を見下すのではなく、人として「尊敬」することで、差別を無くそうとした水平社宣言の精神に学び、今を生きる私たちが力を合わせて「ぬくもりある社会」、そして「かがやく未来」を目指していきましょう。
▽参考文献
全筑後水平社70周年記念誌(全筑後水平社創立70周年記念集会実行委員会)
問合せ:人権・同和教育課
【電話】65-7039
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