■[5.ジェンダー平等を実現しよう]仕事、結婚、育児、介護…働く世代の新しい生活様式
一昨年、国の「男女共同参画白書」に記載された「もはや昭和ではない」という文言が話題になりました。この言葉は昭和時代に多くみられた「サラリーマンの夫と専業主婦の妻と子ども」といった家族や三世代同居が減少し、単独世帯が増加するなど、家族の姿や一人ひとりの人生が変化・多様化するなか、それらに対応することが求められているとの問題意識から掲げられた言葉でした。これらの変化を具体的にみてみましょう。
◇仕事、結婚に対する意識の変化
1985年に936万世帯だった専業主婦世帯は、2022年には430万世帯と大幅に減少しました。一方、夫婦共働き世帯は718万世帯から1191万世帯に増加しています(1)。
生涯未婚率(50歳時点での未婚率)は、1990年までは男女とも5%前後かそれ未満でしたが、その後急激に増加し、2020年には男性28%、女性18%にまで増加しています(2)。今は「誰もが結婚するのが当たり前」ではなくなっているのです。
意識の面でも変化がみられます。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に賛成する人の割合は、1992年には60%でしたが、2022年には34%にまで減少しており、29歳以下の人では20%を切っています。女性の働き方についても、「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい」が減少(1992年43%→2022年27%)し、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」が大幅に増えています(1992年23%→2022年60%)(3)。
◇男性も家事・育児・介護と仕事を両立する時代へ
男性の家事や育児への参画状況も変化しています。6歳未満の子をもつ男性の家事育児の時間が増え(2001年48分→2021年1時間54分)(4)、男性の育児休業取得率も、2022年度は17%で過去最高になりました(5)。とはいえ、女性の家事育児時間(2021年7時間28分)とはまだ大きな開きがありますし、男性の育休取得期間も2週間未満の短期の取得が半分以上を占めています。育児に関わりたいという男性は増えているのですが、「収入が減少する」と「職場に迷惑をかけたくない」などの理由で取得をためらう人も多いようです。
さらに、これから大きな課題になってくるのが介護と仕事の両立です。「介護は女の役割」なんてずいぶん前の話。現在、自宅で高齢者の介護をする人の約3分の1が男性です(6)。しかも近年、有職の介護者が増加しており、2030年には介護者の4割が仕事をしながら介護をすると試算されています(7)。人手不足が懸念される昨今、働き続けながら介護ができる環境を整えることは、介護離職を防ぐためにも急務です。
◆時代の変化に対応するためには
男女共同参画白書では、女性の経済的自立や柔軟な働き方の浸透に加え、家族の姿や一人ひとりの人生や考え方が多様化していることを念頭においた制度設計や政策が必要だと述べています。また、職場や家庭、地域などそれぞれの場で、一人ひとりが多様な生き方や暮らし方について理解しあい、サポートしあえる環境をつくっていくことも重要になってきます。皆さんも、これからの働き方や暮らし方について、改めて考えてみませんか?
粕屋町男女共同参画審議会 会長 武藤 桐子
男女共同参画白書の詳細はこちらから
※二次元コードは本紙をご覧ください。
(1)総務省「労働力調査」
(2)総務省「国勢調査」
(3)内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」
(4)総務省「社会生活基本調査」
(5)厚生労働省「雇用均等基本調査」
(6)厚生労働省「国民生活基礎調査」
(7)経済産業省産業構造審議会経済産業政策新機軸部会2023年3月14日資料「新しい健康社会の実現」
問い合わせ:粕屋町協働のまちづくり課
【電話】938-0173
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