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市民の健康教室

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福島県いわき市

■『抗酸菌感染症』(後編)非結核性抗酸菌症
染色しても酸で脱色されない菌は、抗酸菌と呼びますが、そのうち、結核菌やらい菌を除いた抗酸菌をまとめて非結核性抗酸菌と呼ばれます。
200種類以上ある非結核性抗酸菌ですが、以前は結核と区別するため非定型抗酸菌と呼ばれていました。その中でもアビウムとイントラセルラーレが多くを占め、両者をひっくるめてマック(MAC)と呼ばれてもいました。アビウムの方が多いのですが、東日本に比較して西日本ではイントラセルラーレの比率がやや高い傾向がありました。この両者は最近では区別されるようになり、マック症という呼称はNTM(非結核性抗酸菌)症と呼ばれるようになってきました。ちょっと、長ったらしい名前なので「結核ではない抗酸菌」と理解するとわかりやすいと思います。
NTM菌は水回りや土壌など身近な環境に生息しており、無症状のまま健診のレントゲン写真で発見されることもありますが、咳、痰、血痰、全身倦怠感、微熱、体重減少などの症状がみられることもあります。結核と違って人から人には感染しませんから隔離されることはありません。
NTM症には、肺の陰影は悪化しても肺の機能が比較的保たれている肉芽腫型と、肺が破壊されて呼吸不全に陥る浸出型があります。前者は無治療で経過観察することが多いのですが、後者では積極的な治療が必要です。

■けんこうQandA 放射線治療(8)
Q:前立腺がんの放射線治療について教えてください(その(1))
A:前立腺がんは男性では最も多いがんです。転移のない前立腺がんの治療は、がんの悪性度に従い、手術、放射線、ホルモン療法を単独または組み合わせて行います。手術と放射線治療の効果には差はなく、5年以内に前立腺がんで亡くなることはほとんどありません。手術か放射線治療かの選択は、医師と相談しながら、患者さん自身で選択できます。放射線治療には外部照射と、前立腺内に放射線が出る線源を留置する小線源治療があります。外部照射は、強度変調放射線治療(IMRT/VMAT)が広く行われています。IMRT/VMATでは、1回2.0~2.5グレイを週5回、6~8週間かけて治療します。最近では、1回線量を3グレイ以上として4週間程度で治療する寡分割照射や、5~7回で終了する定位放射線治療も行われています。粒子線治療(陽子線、重粒子線)も公的医療保険が認められています。X線と粒子線治療の効果や副作用には明らかな違いはありません。

■乳腺外科(8)
ー妊孕性(にんようせい)温存治療ー
乳がん患者のニーズの多様化に伴い、治療における妊孕性(妊娠するために必要な能力)の温存が重要な課題となっています。30・40代の患者の中には将来の出産を希望する女性も多く、抗がん剤治療による卵巣機能低下への対応が必要です。
妊孕性温存の方法には、受精卵凍結や未受精卵凍結があり、専門施設と連携して実施します。最新の研究では、妊孕性温存治療を受けた乳がん患者の方が、出産率が高く、死亡リスクも低いという結果が出ています。
必ずしも実際の妊娠・出産につながるわけではありませんが、妊孕性温存は患者やパートナーに大きな希望をもたらします。将来の可能性を残すことで、治療に立ち向かう勇気を与え、精神的な支えとなります。
医療側は、個々の患者の状況や希望に応じて、適切な情報提供と選択肢の提示を行い、最善の治療方針を決定することが重要です。妊孕性温存は、単なる医学的処置を超えた、患者の人生全体を視野に入れたケアの一環として位置づけられています。

◎かかりつけ医の紹介・相談は、医師会事務局へ
(ホームページURL【HP】https://www.iwaki.or.jp)

提供・問い合わせ:(一社)いわき市医師会
【電話】38-4201

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