ー花たちのおいたちー(5)
箱崎美義著
(4)つづき
■あじさいの本名、別な呼び名のゆらい
あじさいの本名は、あじさい、紫陽花である。別な呼び名は、四葩(よひら)(片)、七変化、あづさい、てまり花、よひらの花などがある。本名の、あじさいは、西暦800年代、平安時代の源順が中国の詩の作者、白楽天の詩からの呼び名である。別な呼び名の、あづさいは、「あづ」は集めるという意味で「さい」は、真のあざやかな青色の藍を意味し、集った藍色花のことである。四葩は、あじさいの花の、おしべ、めしべをとり囲む周りの萼が四枚あることの呼び名である。七変化は、花が咲いてから終るまで7回ほど花が変色すという呼び名である。てまり花は、花全体の形が球状になっていることからの呼び名である。あじさいの学名は、ラテン語(ギリシャ語など)のHydrangea(ハイドランジア) Macrophylla(マクロ―フィラ) Seringe(セリング) var Otaksa(オタクサ)と呼ぶ。Hydrangeaは、植物分類上の属名で水と器物の意味である。Macrophyllaは、大きい葉を意味する。Otaksaは、人の名である。
■雨、水気が大好きな、あじさいの花
今から86年前、昭和10年代の子供の頃から野生種で、花の外側が大きな萼片で、これが花びらのように花を形つくっているガクアジサイ(額紫陽花)などを、よく川岸や静かなる沢辺などでよく見かけてきた。また園芸種のあじさいは、庭先の垣根、神社や寺の庭などによく植えられて目にしてきた。この園芸種のあじさいの花をよく見ると、おしべとめしべは、ごく小さく目に止められないが、これを保護している、がく(萼)があたかも花びら(弁)のように大きく広く発達し美しく見える。あじさいの花は、まさに萼片だけが大きく成長した、いわゆる装飾花である。あじさいの花の生き様を見ると、大玉村では寒さに弱く冬越しのため11月頃になると大きな葉は枯れ落す。そして毎年5月から6月頃になると新しい緑葉が伸びひらく。なぜか7月頃の梅雨時期頃になると株全体に花が丸く大きく咲き、てまり花と呼ばれている。数十日間以上、長い間咲き続ける花を見ていると七変化と呼ばれるごとく花の色が白色、青色、赤茶色や紫色など、さまざまに日毎経過するとともに変化することが分かる。
■なぜ、あじさいの花の色が変わるのだろうか
あじさいの花の色の変るその理由、原因は、1つには、あじさいが生育している土の中に含まれているアルミニウム化合物の多少によって変化する。2つには、生育している、あじさいをとり囲む空気中に含まれている炭酸ガス(二酸化炭素)の多少によって変化する(つづく)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>