文字サイズ
自治体の皆さまへ

町の昔話コーナー

12/27

福島県新地町

■大ムカデと赤マムシの戦い(前編)
昔々、大昔の話だと。
坂元の奥の松茸山に身の丈、一丈(いちじょう)※1もある大ムカデが住み着き、山主になっていた頃の話だと。
この大ムカデ、何百年もするうちに、その数が次々と増えて、住み着いていた松茸山だけでは狭こくなってしまったと。
困っちまった大ムカデが目に付けたのが、隣の福田村の北原山だった。
ところが、北原山には昔から赤マムシの一族が住み着いていたったと。
大ムカデは
「ようし!赤マムシをやっつけて北原山をぶんどってやっぺ」
とたくらんだと。そしてさっそく
「北原山を俺ら一族に譲れ。お前らは谷地小屋の一本木原か小川の長鈴原に行け。さもなくばお前ら一族を皆殺しにするぞ」
という手紙を持たせた使いを出したと。
これを聞いた赤マムシ。かんかんにごしゃいで
「何をほざく。何で俺達一族が長年住み着いた北原山から一本木原や長鈴原に移らなくてはなんねぇんだ。断る。」
と書いた返事をやったと。したっけ、大ムカデからは
「下手に出ればつけ上がって。立ち退かねぇごったら力づくでぶんどるまでだ。」
と返事が来たと。こうなったらもはや、どちらも後には引けねぇ。こうして大ムカデ一族と赤マムシ一族が戦うことになったと。
戦いとなったっけば、赤マムシの大将は困ったと。
「そうは言ってもなぁ。身の丈が一丈もある大ムカデが何百匹も押し寄せて来たんでは、赤マムシ一族が束になって戦っても勝ち目はねぇなぁ。はてなじょすっぺ。勝ち目がないからといって、戦わねぇでむざむざと北原山を渡したら、赤マムシの男がすたる。ほだがらと言って、戦って身内に多数の犠牲を出すわけにもいかねぇ。こうなったら俺一人が犠牲になって、一対一、大将同士の戦いで決めるしかないべな」と思い、
「対決は土用丑の日、時刻は日の出と同時。場所は一の沢。大将同士の一騎打ち。他の者の手出しは無用。」
と言う手紙を出したと。
対決の日取りが決まっと、赤マムシの大将は気が気でなかったと。
なにせ相手は足が百本、手が百本の大ムカデ。何か秘策を考えねば勝ち目はねぇ。

こうして策を講じることになった赤マムシの大将。赤マムシの策とは?次回に続く。
※1 一丈は約3メートル 丈=10尺

新地語ってみっ会では、語り部による昔話や紙芝居など毎月第3土曜日13時30分から二羽渡神社南、おがわ観海堂(小野俊雄宅離れ)にて参加費無料で、公開しています。興味のある方はぜひご参加ください。

問い合わせ:教育総務課
【電話】62-4477

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU