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原子力のエキスパート集団~楢葉町原子力施設監視委員会~(3)

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福島県楢葉町

―改めてお聞きします!―
ニュースなどで「もうすぐ福島第一原子力発電所の2号機から燃料デブリの試験的取り出し作業がはじまる」と話題になっています。
「燃料デブリって?」「その作業は危ないの?」
そもそもの疑問を、町職員から委員の皆さんに聞いてみました。

◆「今さら聞きにくいのですが、『燃料デブリ』ってなんですか?」
▽松本副委員長
デブリというのは、「破片」や「瓦礫」という意味です。福島第一原子力発電所の事故で、溶融した核燃料と原子炉構成材の破片や瓦礫が混ざったモノを「燃料デブリ」と呼んでいます。

▽岡嶋委員長
原子力発電の仕組みというのは、原子炉でお湯を沸かし、蒸気を出して、その蒸気で発電用のタービンを回すというものです。原子炉内で非常に高温になった核燃料は冷却しなければなりませんが、東日本大震災のときには、核燃料を冷却する水が循環しなかったため高温になり核燃料も溶けだしてしまったのです。
色々なものが混ざり合った状況でドロドロに溶け落ち、その後、水中に落ちたりして冷えて固まったのが燃料デブリです。これまでの調査の結果、燃料デブリのある場所や量がようやく分かってきましたが、溶けたものにどれだけの金属や、コンクリートが混ざっているのかの比率は分かっていません。
つまり、燃料デブリの組成や性質は、どのように溶けたのかによって異なり、ケースバイケースなんです。そこで、取り出すためには、1号機、2号機、3号機について、それぞれ調査する必要があります。

▽原委員
強い放射線が出ているので、燃料デブリは人間が触れることができません。そのため今の技術では、ケーブルを引っ張って入る有線のロボットしか入ることができません。これが非常に難しいことなので、試験を繰り返しながらロボットの開発をしているところです。

◆「燃料デブリの取り出しに危険はないのですか?再臨界や爆発の可能性はありませんか?」
▽松本副委員長
燃料デブリは、炉心を構成する材料と一緒に混ざっているような状態にあるため、現状では臨界未満の状況にあります。取り出しの際には、万が一にも臨界状態が起こらないよう、ごく小さな破片から取り出して性状を確認することからスタートしようとしている状況です。

▽岡嶋委員長
燃料デブリを調査する程度の量だけ取り出してくる作業であれば量的に非常に少なく、注意をして作業すれば、まず臨界状態にはなりません。
ただ、私は「怖いですか?」という問いに対しては「怖いです。」と答えるのが良いと考えています。なぜなら、「怖いから慎重に対応していこう」という気持ちが起こりますが、その気持ちがなくなると安易な作業につながりやすく、事故の可能性を高めてしまうからです。今は、「正体がわからないものの中身をきっちり知りましょう」という段階です。

▽松本副委員長
福島第一でおおよそ900tの燃料デブリがあると想定されていますが、取り出し方法はまだ決まっていません。できるだけ作業員が放射線を被ばくしないように取り出し作業をすることが重要であると思います。

▽大越委員
本格的な取り出しに向けて専門の技術機関が、様々な技術や対処方法を慎重に検討しています。世界の英知を結集して、安全に取り出して安全に管理できるような状態に持っていこうと多くの人が頑張っています。

◆「取り出しの際に、周辺自治体に住んでいる私たちにリスクはないのでしょうか?」
▽岡嶋委員長
「リスク」というものを考える場合、どんなものにでもリスクはあります。また、工夫によってリスクは小さくもできるし、大きくなる可能性もあります。取り出しの際は、住民の皆さんの安全を第一に計画が立てられます。

▽原委員
現状では、一般の方が燃料デブリに出会うことはあり得ません。燃料デブリを含めた放射性物質はすべて第一原発で安全に管理しているので安心してください。
燃料デブリの取り出し作業は、東京電力が国に対して方法などを申請し、それが認証されて開始されます。
燃料デブリや、燃料デブリの取り出し作業等について不安があれば、私たちも繰り返し町民の皆さんに丁寧に説明していきたいと思います。

◆まとめ
・溶けた核燃料と原子炉内の破片や瓦礫が混ざったモノを燃料デブリと呼んでいる。
・燃料デブリがどのような状態であるか全くわからない。少しずつ取り出して、どうなっているか調べようとしているところ。
・調査を目的とした燃料デブリを取り出す作業では、再臨界の可能性は限りなく低い。

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