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田村市経済を耕すエコノミックガーデニング(1)

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福島県田村市

市が取り組みを進めているエコノミックガーデニング事業。経済施策検討に際し、田村市内の経済構造と事業者に関する情報を取りまとめ、市内事業者のニーズを確認した上で、「市が行えること・経済団体が行えること、金融機関が行えること」を検討し、実行していくことで市内事業者の成長を促すものです。
情報の取りまとめについては、国の統計データを利用して事業者情報を確認し、令和4年度中にアンケート調査を実施するなどの手法を取り、市内事業者の特徴やニーズを整理しました。
昨年5月には経済団体、金融機関、学識経験者等を構成員とする「エコノミックガーデニング田村本会議」を立ち上げ、本会議の下に「エコノミックガーデニング田村実務者会合」を設置しました。
本会議では実務者会合で検討された事項を取りまとめ、昨年11月に提案書という形で、市に意見の提出を行いました。

■エコノミックガーデニングとは
地域経済を「庭」、地元企業を「植物」に見立て、地域という土壌を生かして進取の精神が旺盛で価値を生み出す地元企業を大切に育てることで、地域経済を活性化させる政策のことです。この政策は、アメリカのコロラド州リトルトン市が1980年代後半から実施。以降、企業誘致をしていないにも関わらず、雇用と税収が増加し、成果を挙げています。日本国内では歴史が浅いながらも、静岡県藤枝市や徳島県鳴門市などで取り組まれています。

・エコノミックガーデニング田村 推進体制イメージ図

■これまでの歩みと分析結果
・4年10月 エコノミックガーデニング準備会発足
・11月 田村市事業者実態把握調査実施
・5年4月 田村市事業者実態把握調査結果の分析開始
・5月 田村市地域調査(産業連関表作成)開始、エコノミックガーデニング田村本会議設置
・6月 エコノミックガーデニング田村実務者会合の選任
・6月~10月 分析・調査の中間報告に基づく施策の検討
・11月 エコノミックガーデニング田村本会議開催(市へ施策提案)
・12月~ 実施施策の内容検討
・6年3月 分析・調査結果報告(シンポジウムの開催)

■エコノミックガーデニングシンポジウム
◆[第1部]報告会
3月25日、市文化センターで「田村市エコノミックガーデニングシンポジウム」を開催しました。
第1部では、田村市の中小企業支援を考えるために行った二つの調査からの報告がありました。まず、立教大学の菊地進名誉教授と櫻本健准教授から「田村市事業者実態把握調査」の結果が報告されました。引き続き、一般財団法人とうほう地域総合研究所の木村正昭研究員が「田村市地域調査(産業連関表)」を報告しました。

(1)地域経済を庭、地元企業を植物に見立てる
(2)市や経済団体、金融機関等が連携して支援
(3)地元企業を育て、地域活性化

○菊地名誉教授「求められる変化への対抗力」
原材料や仕入れ単価の上昇をはじめ、円安進行など経営環境が大きく変化しており、企業には変化への対抗力が求められています。市内の事業所を対象に行った調査では、市に今後期待する施策として、「雇用に対する支援」がトップでした。市全体の経済が発展するためには、若手経営者の育成や基幹産業である農林業の強化が大切です。事業所は、自社を見つめ現状を冷静に分析する力や、経営者同士が切磋琢磨(せっさたくま)し、ともに学び合うことが必要でしょう。

○櫻本准教授「積極的な販路拡大を」
広域で活動する製造業、建設業を除くと、販売・仕入れ先の多くが市内になっており、事業者が狭い地域内だけを対象にしている状況です。将来の人口減少を見据えると、郡山市や他地域への積極的な販路拡大がポイントでしょう。地域別インターネットサービスの利用状況を見ると、船引と他の地域で多少差があります。インターネットサービスの利用の前に販路を拡大し、事業規模を大きくしてからインターネットサービスを拡大していくことが、成長路線になるでしょう。

○木村研究員「潜在能力高い観光地あぶくま洞」
あぶくま洞・入水鍾乳洞の観光客入込数は、震災前の2010年は約38万人、2022年は約17万人と、約20万人減少しましたが、あぶくま洞・入水鍾乳洞が約38万人の観光客が訪れるポテンシャルがある観光地であることが示されています。観光客入込数が20万人増加した場合、市内への経済波及効果は約8億5千万円となります。最も波及効果が高かった産業は飲食店や旅館などの「対個人サービス」で、直接関連がないと思うような産業にも波紋のように効果が広がると考えられます。

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