■旧玉野小学校を活用したウイスキー製造をリポート
玉野アセンド蒸留所が開所しました
市は、玉野小学校閉校後の施設利活用のために、事業者提案型の公募を行い、校舎を活用したウイスキー製造事業を提案した株式会社CTIアセンドを優先交渉権者に選定し、令和5年6月に包括的連携協定を締結しました。玉野地区の農地や旧玉野小学校を活用した「サステナビリティ(持続可能な)事業」を目指す同事業では、ウイスキー製造が中核となります。
今回の特集では、今年7月から本格始動した旧玉野小学校でのウイスキー製造の様子を紹介します。
◆玉野地区でのサステナビリティ事業
○事業の概要
サステナビリティ事業の概要は以下のとおりです。
・下水汚泥や畜産排せつ物などの未利用資源を肥料として活用したり、ウイスキー製造の残渣(ざんさ)を飼料・肥料として資源利用するなど、資源循環に配慮した持続可能な事業を展開。
・担い手不足などの理由で耕作されなくなった水田などの遊休農地を活用し、グレーンウイスキーの原料である子実トウモロコシを栽培することで、農業振興に寄与。
・ウイスキーの蒸留室は給食調理室を活用し、校舎は樽熟成や瓶詰め作業および事務室などで活用。校庭には子実トウモロコシの乾燥保存庫を建設。
○玉野アセンド蒸留所で使うウイスキーの原料
玉野地区の遊休農地を活用し、次のようなグレーンウイスキーの原料となる穀物の栽培を行っています。
・子実トウモロコシ
普段私たちが野菜として食べる「スイートコーン」とは違い、実が固く、乾燥した状態で実(粒)だけを収穫します。でんぷん質を多く含み、主に家畜の飼料や、スナック菓子、コーンスターチなどに加工され流通しています。
・ライ麦
ライ麦パンなど、古くから食用とされている穀物で、食物繊維やミネラルが豊富。ウイスキーの原料としても利用されます。
○グレーンウイスキーとは?
トウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀類を主原料とし、そこに大麦麦芽を糖化酵素として加え、製造されたウイスキーです。
※大麦麦芽のみを使用したウイスキーはモルトウイスキーと呼ばれます。
◆メイドイン相馬のウイスキーができるまで
相馬初のウイスキー製造は、旧玉野小学校の給食調理室を活用した蒸留室などで行われます。各工程とも、水がとても重要で、霊山の伏流水を水源とする良質の軟水により、柔らかな口当たりのウイスキーになります。
(1)粉砕
ハンマーミルで原料の穀物を粉砕。
※玉野アセンド蒸留所では、子実トウモロコシ(主原料)とライ麦、大麦麦芽が原料です。
(2)蒸煮・糖化
穀物とお湯を仕込み装置で混ぜて、大麦麦芽の糖化酵素で穀物のデンプンを糖化させます。
(3)冷却
仕込み装置でできた糖化液を熱交換器で冷却します。
→玉野アセンド蒸留所の場合、この段階の発酵液のアルコール度数は約6パーセント
(4)発酵
酵母を加え、発酵タンクで数日間発酵させます。この過程で、糖がアルコールに変化します。
(5)蒸留
1)発酵液を加熱し、アルコールの沸点(78度)と水の沸点の差を利用してアルコールの蒸気を発生させます。
2)蒸気を冷却し再び液体に戻して、高濃度のアルコール(蒸留液)を抽出します。2回この工程を繰り返します。
蒸留液のアルコール度数:
・1回目(初留)=約20パーセント
・2回目(再留)=約60パーセント
→初回の熟成は、アメリカのバーボンウイスキー造りに使用した樽を再利用!
(6)熟成
熟成はウイスキー造りの大切な工程です。
透明な蒸留液を木製の樽で約2年間熟成させます。樽材の香りや環境で風味が変化し、色も独特の琥珀色になります。
(7)ブレンド・びん詰め
熟成を経て完成したウイスキーの原酒は、樽ごとに味わいが異なるため、それらをブレンドして蒸留所オリジナルのウイスキーをつくります。
→アルコール度数約60パーセントのウイスキーに加水して約40パーセントにしてからびんに入れるよ!
(8)完成!
初回の完成は、令和8年の予定です。
◆これからの展望
玉野アセンド蒸留所の当初生産見込みは、年間19,000リットル(720ミリリットル瓶で約27,000本)で、市内酒販店のほか、インターネットでの販売や蒸留所での直売を予定しています。
市の新しい特産品として、ウイスキーの完成を楽しみに待ちましょう。
→市公式YouTubeチャンネルで、同事業の様子を紹介しています!
問い合わせ先:企画政策課
【電話】37-2132
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