内科 屋島 治光
■「脂質異常症」について
真夏の日差しがまぶしい季節となり、パリオリンピックでのアスリートの活躍に感動する今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は、健康診断の結果で脂質異常を指摘された場合について考えてみましょう。脂質異常症では、動脈硬化による冠動脈疾患や脳こう塞の危険が増加するため、治療が必要となります。
○LDLコレステロールが高い場合
脳こう塞、心筋こう塞といった動脈硬化による基礎疾患がある場合は、二次予防としてより積極的な治療が必要なため、受診治療が必要です。家族性高脂血症といった遺伝的な疾患の場合も、専門医の治療が必要になります。
糖尿病、慢性腎臓病、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症など)があれば高リスクなため治療が必要となり、上記の疾患がない場合は10年以内に動脈硬化性疾患などを発症するリスクを予測モデルで評価し、生活習慣の改善(食事・運動・禁煙)に取り組み、改善がない場合は薬物療法の適応があります。
動脈硬化性疾患の予測モデルについては40歳から80歳未満が対象で、冠動脈疾患と脳こう塞の発症確率で評価し2%未満低リスク、2~10%未満中リスク、10%以上高リスクとされそれぞれに治療目標が設定されます。80歳以上の方は状態に合わせた個別の治療が必要となるため、受診し相談していただく必要があります。
○HDLが低い場合
基本的には生活習慣の改善で対処します。
○HDLが高い場合
非常に高い場合は、酵素欠損による場合があり受診が必要です。
○中性脂肪が高い場合
食事療法では炭水化物、アルコール、糖質を含むお菓子や飲み物、果物などを控えるようにしましょう。有酸素運動や筋肉トレーニングなどで適度な運動を1日30分週3回を目安に行いましょう。禁煙も大切です。十分な効果が得られなければ薬物治療を考慮します。
○nonHDLが高い場合
中性脂肪が高い場合が多く、生活習慣の改善で効果が不十分な場合、薬物療法を考慮します。
一般的に高齢者においてはフレイル・サルコペニア(肉体的・精神的・社会的に虚弱な状態)になると動脈硬化性心血管疾患が増加し、さらにその予後に影響することが分かっており、フレイルにならないように食事や運動習慣の改善が望まれます。町のふれあいセンターや運動教室を積極的に利用しましょう。
■医療センターからのお知らせ ~お盆期間の診療日は下記のとおりとなります~
○…通常診療日 休…休診日
※救急等の診療(内科のみ) は、夜間を含め対応します
問合せ:医療センター
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