多様性社会、それは一人ひとりが自分らしく生きられる社会のこと
■多様性社会とはどんな社会だと思いますか?
多様性社会とは、性別や年齢など、人それぞれ異なる個性を持つことを認め合い、尊重し合う社会です。その人らしく、そして自分らしく生きられる社会にすることは一見シンプルで頭では理解できていても、私たちの心の中には、気付かないうちに思い込みや偏見が根付いてしまっています。
令和5年6月に「LGBT理解増進法(※)」が公布・施行され、今年の9月2日からは「福島県パートナーシップ制度(本紙9ページ)」が開始されるなど、多様性を認め合う社会へと動き出しています。しかし、「多様性社会」という言葉を耳にする機会が増えた一方で、その意味や本質が分からなくなっている方もいるかもしれません。
今回の特集では、多様性について「気付く」「知る」「考える」の3つのステップで考えていきます。自分に意外な思い込みがないかチェックしたり、いろいろな立場の人の声を聞いたりして、自分も周りも暮らしやすい社会とはどんな社会なのか、一緒に考えてみませんか?
※「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」のこと。
■ステップ1 気付く
◆意外と多い日常の“無意識の思い込み”
日常生活で、相手の行動や考えに対して「普通は〇〇だよね」「それって常識じゃないの?」と思ったり、意見したりすることはありませんか?それはアンコンシャス・バイアス(=無意識の偏ったモノの見方)かもしれません。
アンコンシャス・バイアスは、これまでの経験や知識、価値観などから影響を受けて生まれる自分なりの解釈で、誰にでもあることです。それによって、私たちは危険を避けたり備えたりと自己防衛ができるので、アンコンシャス・バイアスそのものが悪いものではありません。ですが、その思い込みから出た言動が、知らず知らずのうちに相手を傷つけたり、相手や自分自身の可能性を狭めてしまったりすることもあります。「家事は男性には無理」「女性だから(もしくは経験がないから)仕事を任せられない」と言ったり、言われたりしたら…。「彼氏(彼女)はいるの?」「スカートは履かないの?」と聞いた相手が実は性的マイノリティの人だったら…。時としてそれはセクハラやパワハラ、差別につながるなど、家庭や職場などさまざまな場面で悪影響を及ぼしてしまいます。
「どうせ無理だ」「こうあるべきだ」会話の中でそんな言葉に気付いたら、「もしかしてこれは偏った見方をしているかも?」と一度振り返ってみてください。それに気付こうとすることは、相手や自分自身を尊重し、多様性社会への大きな一歩につながります。
○こんな言葉、使っていませんか?
・「男ならこうあるべきじゃない?」
・「世間の常識でしょ」
・「これだから〇〇世代は…」
・「女ならできて当然」
・「〇〇出身だとお酒好きでしょ?」
・「〇歳で結婚してないのはおかしい!」
◆あなたにも“無意識の思い込み”ありませんか? 〔アンコンシャス・バイアス〕チェックシート
○日常編
・男は「男らしく」、女は「女らしく」と思うことがある。
・血液型や出身地、世代で、相手の性格を想像することがある。
・消費者は敬ってもらって当たり前だと思う。
・デートの飲食代は男性が払うべきだと思う。
・家事や育児、親の介護は女性の役割だと思う。
・シニア世代は保守的だと思っている。
・有名人や公人は批判されても仕方がないと思う。
・学歴や職業でその人を評価してしまう。
○職場編
・仕事相手は男性が良いと思ってしまう。
・雑用やお茶くみは女性や若手社員の仕事だと思う。
・お酒が飲めない人は付き合いが悪いと思う。
・定時で帰る人は、やる気がないと思う。
・仕事より育児を優先する男性は仕事へのやる気が低いと思う。
・子どもがいる女性や障がい者に仕事を頼むのはかわいそうだと思う。
・挑戦する前に「自分には無理」と諦めることがある。
※チェックが多いから悪いということではありません。
この気付きが、家族や職場など人との関わりをより良くするための第一歩となります。
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