認知症になると何も分からなくなってしまうのでは?」というイメージをお持ちではありませんか?今、認知症になっても、仕事をしたり、趣味の活動を続けたりと、自分らしく社会に参加する人が増えています。高齢化社会において、認知症はだれもがなり得る時代。自分が、家族が、友人が認知症になっても、尊厳を保持し、希望を持って地域で暮らすことができる社会の実現に向けて、まずは認知症を正しく理解するところからはじめましょう。
■認知症とは?
認知症とは記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障をきたしている状態。年齢を重ねると、すぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが難しくなったりしますが、認知症はこのような加齢による「もの忘れ」とは異なります。高齢になるにつれ発症しやすくなり、国内の認知症有病者は令和4年の時点で高齢者の8人に1人。軽度認知障害(MCI)と合わせると3~4人に1人。認知症に早く気づくことのメリットは大きく、早く診断を受け、症状が軽いうちに認知症への理解を深めたり、今後を話し合ったりすることで、希望にかなった生活への備えができます。また40~50代で発症するケースもあるので、少しでも不安に思うことがあれば早めに適切な診察を受けることが大切です。
○65歳以上の高齢者における認知症の現状[令和4年時点の推計値]
出典:「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」
(令和5年度老人保健事業推進費等補助金老人保健健康増進等事業二宮利治)
■認知症の治療
認知症の発症には、さまざまな原因があります。治療によってその原因を取り除けるケースでは、症状の改善が可能です。そうでない場合、完治の方法はまだ確立されていませんが、治療を受けることで症状の進行が緩やかになり、日常生活の支障が少なくなる可能性はあります。治療により本人は穏やかな生活を送ることができ、介護する側の負担も軽減されるのです。
また、令和5年12月からアルツハイマー病の原因物質に直接働きかける新薬「レカネマブ」が県内医療機関においても使用が始まっています。症状の進行を3割程度遅らせることが期待されていますが、対象となるのは軽度の認知症と軽度認知障害(MCI)の人に限られるため、早期診断・早期治療がカギとなります。
○認知症の原因となる病気
出典:「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応平成23年度~24年度総合研究報告書」(厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業朝田隆)
■軽度認知障害(MCI)を知って早期治療を!
軽度認知障害(MCI)をご存じですか?MCIとは、記憶力などの認知機能の低下があるものの、日常生活は問題なく送ることができている状態のことです。この段階で見つかった場合は回復も見込めることから、早期発見・早期治療がカギになります。
▼軽度認知障害(MCI)の代表的な症状
(1)周りの人と比べて、物忘れが気になる
(2)今日の日付や曜日がわからない
(3)昨日の晩ごはんのおかずを思い出せない
○MCIは健常な状態と認知症の中間の状態
気になったら、かかりつけ医もしくは認知症疾患医療センターを受診し、早期発見・早期治療につなげましょう
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