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〔県政特集1〕クマを知って、被害を防ごう!

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秋田県

クマによる被害が県内で多発しています。今や誰もが日常生活のなかでクマへの注意・対策をする必要があります。クマの生態や対策方法を正しく知ることが、事故を防ぐ第一歩。東北初のクマ対策専門職員として、クマに関する正しい知識を伝える普及啓発にも取り組む近藤麻実さんにお話を伺います。

〔紙上出前講座〕
秋田県生活環境部自然保護課鳥獣保護管理チーム
[ツキノワグマ被害対策支援センター]
近藤 麻実さん

○PROFILE
大学卒業後、北海道の研究機関でヒグマの生態調査や被害対策を行う。クマの研究に20年以上携わり、専門職員として2020年より現職。

■クマはなぜ人里に出てくるの?
(1)食べもの
農作物や実のなる庭木、生ゴミもクマの食料になります。一度に/かんたんに/大量に食料を得られると覚えたクマは、集落に通ってしまいます。

▼畑
・農地や堆肥にする米ぬか等を電気柵で囲みましょう。
・作物は規格外やキズモノのほか、摘果したものもきちんと処分しましょう。

▼庭木
・実を利用する場合は木を電気柵で囲いましょう。
・幹にトタンを巻くのも有効です。
・実を利用しない場合は早いうちにもぎ取るか伐採してしまいましょう。

▼ゴミ
・ゴミは収集日を守り、当日の朝に出しましょう。
・クマが出没する地域ではコンポストの利用を控えるか、周囲に電気柵を張りましょう。

(2)ヤブ
クマはヤブなどの人目につきづらい場所を利用しながら行動します。見通しの悪いヤブや耕作放棄地の増加もクマ出没の確率をアップさせます。
・家のまわりや通学路周辺などの刈払いを積極的に行いましょう。
・除伐、間伐などで周囲の見通しをしっかり確保しましょう。

クマも本来は人には出合いたくありません。
食料を片付ける/見通しをよくするなど周辺環境を整備して、集落にクマを寄せ付けない/通わせないことが重要です。

クマを寄せつけないよう、普段からしっかり対策をしましょう!

■ツキノワグマの基礎知識
・体長100〜150cm
・体高50〜70cm(秋田犬と同じぐらい)
・胸に白い月の輪マーク
・学習能力が高い
・聴覚と嗅覚が発達
・特に嗅覚は犬より鋭い

▼痕跡
○足跡に注意!
・前足、後ろ足で形が違う
・指は5本
・鋭い爪がある
○フンの特徴
・タヌキやキツネと違って臭くない
・食べたものがあまり消化されないまま出てくる
・草や木の実など、食べたものの匂いがする

痕跡を見つけたら市町村または警察へ通報!

▼秋田県のクマ許可捕獲数

▼走る速度は時速60km
50mを3秒

▼想定される生息数
4,400頭
2020年4月時点

▼クマによる県内の人身事故
11.2名
2013~2022年の平均

■教えて!近藤さん!! クマ対策Q and A
Q1 どうしてクマの出没・目撃件数が増えているの?
人口減少や耕作放棄地の増加により、クマの分布が私たちの生活圏側へと広がり、隣接・重複するようになった結果、出没しやすくなっています。

Q2 もっと駆除できないの?
2023年度は2,000頭を超えるクマを捕獲しましたが、近年は年間500〜600頭のクマを捕獲しています。これは全国的に見ても多い頭数です。ただし捕獲だけでは問題は解決しないため、左ページのような対策が重要です。

○クマ許可捕獲数(2023年度)
1位 秋田県(2,183頭)
2位 北海道(1,422頭)
3位 福島県(896頭)
*環境省クマ類の捕獲数(許可捕獲数)について[速報値](令和6年5月現在)

Q3 音を出すのって本当に効果あるの?むしろ音に寄ってくるのでは?
ある程度距離があれば音で逃げない個体もいますが、そういった個体も人間と鉢合わせはしたくありません。事故分析をしてみると、ほとんどの場合で被害者は静かに444行動しており、クマと鉢合わせていました。音を立てて人の存在をアピールし、鉢合わせを避けることが事故防止につながります。

Q4 クマを目撃したら?
市町村(農林整備課・農林課・農林振興課など)もしくは警察に通報してください。また、目撃情報は集落内でも共有し、お互いに注意し合いましょう。

▼NEW「クマダス」に登録を!
ツキノワグマの出没情報等を一元的に管理し、マップとして視覚的に情報提供するとともに、メール配信機能により利用者へ注意喚起できるシステム「クマダス」の運用が7月1日からスタートしました。ぜひメール配信登録のうえご活用ください。
●出没情報をPC・スマホでいつでも確認
●自宅や職場周辺の出没などの情報をメールで受け取り

■もしも出合ってしまったら?
(1)避難する
もし近くに建物や車があり、クマがこちらに気づいていないようなら、すぐに避難してください。

(2)ゆっくり後退り
避難先がないときは、慌てず落ち着いて、ゆっくり確実にクマと距離をとりましょう。背中を向けたり、走って逃げたりすると追いかけられることがあります。クマと自分との間に木や岩、電柱や塀などの障害物を挟むように移動するとより良いです。

(3)撃退スプレーを使う
襲われそうになったらスプレーを噴射し、クマを退けます。これはあくまで最終手段。遭遇しないための対策が重要です。

▼覚えておきたい防御姿勢
クマの攻撃は人間の頭部に集中する傾向があります。撃退スプレーなどがなく、襲われそうになったときは、致命傷や大ケガを防ぐために、写真のような防御姿勢を取りましょう。〔写真は本紙をご覧ください〕

あきた県庁出前講座では「こんなときどうしたらいいの?」などクマに関する啓発活動を行っています。学校、町内会などさまざまな単位でお申し込みいただけますよ。

詳しくは「美の国あきたネット コンテンツ番号23295」へ

この内容に関するご質問は県自然保護課(018-860-1613)へ

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

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