百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ。「(適度な)酒は、どんな薬にも勝るというが、(実際には)多くの病気は酒が原因で起こる。」という意味だが、私も含めた多くの酒飲みは、百薬の長を強調することが多いのではないだろうか。
飲酒日の1日あたり飲酒量のデータをみると、本町では男性で2合以上飲む人の割合が県内1位、女性で1合以上飲む人の割合が県内最下位となっており男女差が大きい。男性の酒量が多くなっているのは、健診における問診の影響もあってのこと。健診では酒量を過少申告する人が多くなる傾向にあるが、対面で「どういった種類のアルコールをどのように飲みますか?」や「1升瓶が何日で空になりますか?」と聞かれると、正直に答える人が多く、結果として申告よりも増えることがよくあるそうだ。その点、女性は飲まない人が多いのだと思う。それでも飲む人の割合を経年で見ると、男性は減少傾向、女性が増加傾向になっている。
先日、アルコールによる健康障害の発生を防止、不適切な飲酒を減らすことを目的とした飲酒ガイドラインが公表され、年齢、性別、体質等による違い、リスクや飲酒の際の留意点が示された。(1)高齢者は若い時と比べて、体内の水分量の減少等で酔いやすくなり、飲酒量が一定量を超えると認知症の発症の可能性が高まる。(2)女性は、男性と比べ体内の水分量が少なく、分解できる量も少ないことや、女性ホルモンのはたらきにより、アルコールの影響を受けやすい。(3)分解酵素のはたらきの強弱は、個人差が大きい。弱い場合は、顔が赤くなったり、動悸や吐き気がする状態になることがある。(日本人では41%程度。)(4)高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中は少量であっても飲酒自体が発症リスクを上げる。大腸がんは1日あたり純アルコール量20g以上の飲酒を続けると発症リスクが上がる。(純アルコール量20gは、ビール500ml、日本酒では1合にあたる。)
これまでも語られてきた内容ではあるが、改めてリスク等を認識して付き合っていかねばならない。お酒に限ったことではないが、適度な量であれば薬にもなり得るし、薬であったとしても過度な摂取や長期間にわたる摂取は毒となり健康に害となる可能性があることを忘れないようにしたい。
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