暦の知識がなければ、雑節と言われても、スラスラと出てくる人は多くはないだろう。節分、彼岸、入梅、土用と言われれば、誰もが知っているとなるが、季節の移り変わりを示すもので、生活や農耕に密着した暦だ。その一つである「二百十日」は、立春から数えて210日目で毎年9月1日頃、今年は8月31日にあたる。稲の開花期に台風が襲来しやすいことから農家の厄日とされているが、まさに台風10号が接近中。進路を示す予報円が広く、影響を受ける範囲もつかみにくいが、動きは遅く、長雨が予想されており、日本全国が大荒れとなりそうだ。被害が少ないことを祈りたい。
また、9月1日は「防災の日」であることも忘れてはならない。関東大震災(1923年)が発生した日で、雑節の「二百十日」にも起因しており、地震や風水害等に対する心構え等を育成するために創設された日である。
新年の能登半島地震、8月の南海トラフ地震臨時情報、そして台風と、個々の防災意識は、これまでになく高いと言える。意識だけでなく、避難経路の確認、家具の転倒防止、非常用リュックの用意等、日常的な備えに取り組むことこそ重要。先日テレビで、家族分だけでなく、もしかしたら、他人の役に立つかもしれないと、使わなくなった子供用おむつやミルク等を備蓄リュックに入れている家族が紹介されていた。非常時のために他人を気遣えることに感動するとともに、自らも困ったときはお互い様の精神を忘れずにいたいと思う。
災害は、被害が大きくなるにつれ、自治体による「公助」が追いつかない場面が増えることもある。行政からは、地域や個人による「共助」「自助」のお願いをしているが、防災の日を機に、非常時の備えや、もしもの場合の対応を再確認し、想定外が起こらないように身の回りの防災対策等を強化していきたい。
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