青森県、秋田県、岩手県の北東北3県に、八郎太郎に関する伝説が残されています。
能代市二ツ井町にも、八郎太郎に関する伝説があることを知っていますか。令和6年が辰年であることにちなみ、八郎太郎伝説についてご紹介します。(詳細は紙面2、3ページ参照)
■八郎太郎
鹿角で生まれ、力強く、とても優しく育ち、皆から八郎太郎と呼ばれる者がいた。
ある日、八郎太郎は仲間とともに十和田の山奥へ。そこで起きたある事件をきっかけに姿が大きな龍に変わってしまう。十和田湖を作り暮らしていたが南祖坊という修行僧が現れ、激しい戦いとなる。八郎太郎は戦いに破れ、十和田湖を去ることに。十和田湖を追われた八郎太郎は、安住の地を求めて米代川沿いを下り、ついに二ツ井町へ…
■二ツ井町の伝説 天神様と八郎太郎
(1)米代川を下ってきた八郎太郎は、七座山付近の川をせき止めて湖にし、安住の地とした。これに怒った八座の神様たちは、どうにかして八郎太郎を別の場所へ移したいと相談し、一番賢い七座の神、天神様にすべて任せることに。
(2)ある日、天神様は八郎太郎を山の頂上に呼んで、力比べを提案。八郎太郎は、近くにあった大きな石を川の中ほどまで投げた。一方天神様は、八郎太郎よりもっと大きな石を投げ、石は川を越えて飛んでいった。
驚いた八郎太郎に天神様は「この湖は不便で窮屈そうに見える。下流の男鹿半島のほうに、もっと広い場所があるから、そこに住んだらどうか」と提案した。
(3)天神様は、使いの白ネズミたちに八郎太郎がせき止めた堤防に穴をあけるよう命じた。
たくさんの白ネズミは、神様の命令どおりに堤防に穴を開け始めた。驚いたのは富根と鶴形付近のネコ族。仲間を集めて白ネズミたちを捕らえ、餌食にしようと攻めてきた。ネコと白ネズミは三日三晩争い続けた。
これを見た神様は、ネコを一カ所に繋いでネズミに近づけないようにした。このネコを繋いだところが猫繋(ねこつなぎ)で、ネコの「ネ」を省いて現在の地名「小繋(こつなぎ)」となった。
(4)こうして白ネズミたちは安心して穴を掘り続け、ついに水を通した。見る見るうちに大洪水となり、八郎太郎はこの水の流れに乗って米代川を下った。二ツ井町七座の名も大洪水で八座のうち一座を流された後からの名前である。
その後、男鹿半島近くの湖にたどり着き、住みかとした。これが八郎潟と言われている。
■調べてみよう
北東北三県にまたがる伝説、八郎太郎伝説。この壮大な伝説には諸説あり、地域によってさまざまに言い伝えられています。どの地域でどのように伝説が残っているかは、さまざまな文献や資料から読み取ることができます。
能代図書館、二ツ井図書館ともに八郎太郎や秋田県の伝承に関する本を所蔵しています。これを機に、能代市に伝わる伝承を調べてみませんか。
■おすすめ本紹介
八郎太郎
文:菊池 敬一
絵:丸木 俊
出版社:小峰書店
八郎太郎伝説を絵本で読むことができます。誰でも分かりやすく八郎太郎を学べる作品です。
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