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自治体の皆さまへ

特集-Special Feature-地域医療を守るために(4)

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秋田県鹿角市

■地域医療を諦めない
医師不足解消を目指す住民活動
医師不足という問題を解決するため、奔走しているのは病院や行政だけではありません。18年にわたり活動を続ける「鹿角の医療と福祉を考える市民町民の会」。その思いに迫ります。

▽精神科の常勤医師復活に向け
平成18年、鹿角地域から精神科の常勤医師がいなくなることが決まりました。常勤医師がいなくなることで、認知症などの高齢者を含めた多くの地域住民に影響が出ることは避けられず、これは何とかしないといけないと関係者が声を上げ、発足したのが「鹿角の医療と福祉を考える市民町民の会」です。
地域の人に現状を知ってもらうために住民集会を開催。常勤医師の復活を求める署名活動を行い、1万6千人を超える署名を集めました。全国の道の駅に医師募集のチラシを配布するなど12年に及ぶ活動の結果、県に医師対策推進室が設置され、平成30年にはついに、常勤医師が2人来てくれることになりました。
振り返ると、成果が出たのは、行政と一緒に取り組んだことが大きかったと思います。また、市民側から要求するにしても、行政や病院と敵対するのではなく、鹿角市にとって何が良いのかを考え、みんなにとって良い提案をすることを意識したのが良かったと思います。

▽医療の底上げが課題
しかし、現在は再び、精神科の常勤医師がいなくなってしまいました。医療について不安を抱える市民が多いのは、非常勤の医師が多いことも原因の一つにあると思います。高齢患者の話を聞いていると、常勤の医師でないと「様子を見ましょう」で済まされてしまうケースが多いようで、そのような対応の積み重ねで、市民の医療への不信が募っているように思います。
市民の医療に対する不安を軽減するためには、医療の底上げが大切であり、そのためには「救急医療体制の充実」「総合診療医の配置」「医療サポートセンター充実」の3つが効果的だと考えています。特に、救急の医師を増やし、あるいは患者の症状を幅広く包括的に診療することができる総合診療医がいれば、広範囲の科の患者を診ることができ、各科の常勤医師を増やそうとするよりも建設的な解決策だと思います。

▽市民・行政・医療関係者が一緒に
自分の住んでいる地域で、当たり前に受診できることが、私たちが目指す理想の姿です。それは医療という側面だけではなく、子育てしやすい地域づくりや、移住する人が安心して生活できる環境づくりにもつながります。
これからは、市民・行政・医療関係者が一緒になって考えていくことが大切です。市民は、仕方ないと諦めるのはでなく、もっと希望を発信した方が良いと思います。たくさんの人が、ずっと住み続けられる鹿角を、子どもたちに引き継ごうという思いを持って話し合い、市民・行政・医療関係者がベクトルを合わせていくことができれば、地域医療は良くなっていくと信じています。

■地域の医療に関するご意見をお寄せください
本市の最重要課題である医師の確保を進めるため、市内唯一の公的医療機関であるかづの厚生病院への医師派遣について、岩手医科大学や秋田大学、弘前大学に対し、常勤医師の派遣要望活動を継続して行っています。
また、市では、医師確保の情報収集や、地域の医療に関するご意見をお寄せください医師修学資金被貸与者と綿密に連絡を取りながら、将来鹿角での就業に対する準備のほか、看護師などの医療従事者を目指す子どもたちに対しては、岩手医科大学の寄附講座を活用した医学教育の周知などを行っています。
医師をはじめとする医療職として就業が可能な人の情報や、地域医療に関する意見がありましたら、お気軽にご連絡ください。

問合せ:福祉総務課地域医療推進員
【電話】30-0262【E-mail】iryou@city.kazuno.lg.jp

■私たちにできること――
地域医療に関する問題を解決するのは、決して簡単なことではありません。それでも、市民、行政、医療関係者、それぞれが相手の視点や状況を理解しようと心を配り、その上で、みんなの幸せにつながる方法を一緒に考えていくことによって、解決の糸口が見えてくるかもしれません。
私たちにできること――。それは特別なことではありません。病院を利用する際は、診療時間内に行くこと。緊急の場合を除き、休日・夜間の受診や安易な救急車の利用を控え、医療従事者の負担が増えないようにすること。そのような目に見えない小さな思いやりの積み重ねが、医療従事者が働きやすい環境を作り、鹿角で働きたい、働き続けたいという思いを生むことにつながります。
そして、医師をはじめとする医療従事者は、病気やけがで不安な気持ちでいる患者に寄り添い、温かい態度で接する。そんな一人一人の温かい思いが、地域医療を守る鍵にきっとなるはずです。(完)

■自分の命と医療を守る大切な心がけ
▽健康管理を行う
定期的に健康診断を受診するなどして、日ごろから健康管理を行いましょう。

▽かかりつけ医を持つ
これまでの病歴や服薬している薬などを把握している「かかりつけ医」を持って、高度な検査や治療が必要になった場合は、病状に応じて医療機関を紹介してもらいましょう。

▽休日・夜間の受診は控える
緊急を要するものを除き、休日・夜間の受診は控えましょう。受診すべきか悩んだときは、テレフォン病院24(【電話】0120-959-783、年中無休、24時間通話無料)をご利用ください。

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