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市民が作る市民編集のページ Vol.149

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群馬県前橋市

■新陰流の聖地・剣聖の里を全国へ
ー新陰流流祖祭で歴史を辿るー
文:ワカモノ記者・梶田結衣、茂木春香
11月11日に開催された新陰流流祖祭。前橋に生まれ新陰流を大成した剣聖・上泉信綱のゆかりの地へ行ってきました。

◇上泉信綱とは
永正5年、大胡城の支城である上泉城主上泉義綱の次男として生まれました。
幼少時代から剣の修行を続け「剣聖」として仰がれる人物で、その武勇により「上野国一本槍」とも評された、新陰流の創始者。新陰流は後に、柳生宗厳を通じて徳川将軍家の剣術となりました。
信綱公は教養や軍学にも長け、文武両道の人と伝えられています。また、剣術の継承や稽古指導にも大きく貢献し、剣術の祖として名高い人物。
信綱公の、人を生かす「活人剣」の精神は、新陰流とともに現代まで脈々と伝わっています。

◇新陰流流祖祭とは
本市に生まれた剣聖・上泉信綱の功績を称えるとともに、信綱公ゆかりの寺社や城跡などの史跡が残存する上泉町と桂萱地区を「新陰流の聖地・剣聖の里」として発信する目的で開催。コロナ禍を経て、4年ぶりに開催しました。
本年は、信綱公の子孫による講話や柳生新陰流宗家らによる新陰流の解説、演武に加え、歴史観光ガイドツアーや刀剣鍛錬の実演、鍛冶体験、ドラマ「新陰流上泉伊勢守信綱」の特別上映や、獅子舞奉納も展開されました。

◎上泉の獅子舞
9世紀前後に始まったとされ、現在使われている獅子頭・笛などは、新陰流流祖である上泉信綱公が奉納したものといわれています。テンポのゆったりとした舞で、市重要無形民俗文化財に指定されています。

[新陰流演武]
新陰流には、のびのびと全身を使った動きをすること、剣道を通じて人格を磨くことといった特徴があると紹介され、観客たちの前で実際の演武が披露されました。
まず、前橋医療福祉専門学校の留学生たちが体験教室お披露目演武を実施しました。留学生たちは二人一組で、礼法と「一刀両断」の形を真剣な面持ちで披露。観客の拍手を受け笑顔を見せる一幕もありました。
続く新陰流宗家らによる演武は、初級レベルと上級レベルの二つに分かれて披露されました。
初級レベルでは一調子で使う本来の技が難しいため、二つに分けて披露。一方上級レベルでは、突く技で攻撃をかわすなど、より多くの勢法が見られました。先に仕掛けて相手の動きを引き出すことは「餌にする」と表現され、相手をじっと見つめて次の勢法を繰り出す様子に感嘆の声が上がる場面も多く、観客たちは演武に見入っていました。

▼ゆかりの地をめぐるー歴史観光ガイド
※詳しくは、本紙またはPDF版を参照してください。
(1)玉泉寺
上泉城の西に位置する玉泉寺。西の景観は開け、榛名山や利根川を見渡すことができます。前橋学市民学芸員によると、昔はここから敵の様子やのろしを確認していたのではないかとのことでした。境内の閻魔堂の前には「極楽行・地獄行」というバス停もありました。
(2)西林寺
本堂入り口に「上泉伊勢守菩提寺」の看板が掲げられ、上泉伊勢守のものと伝えられる墓碑がありました。中ではお菓子とお茶をいただき、信綱公をイメージしたオリジナルのまんじゅうと季節の花があしらわれた手作りの茶碗で、信綱公に思いをはせることができました。
(3)上泉伊勢守銅像
この銅像は平成20年に剣聖・上泉伊勢守生誕500年を記念して建てられました。この立ち姿は「無形の位」という新陰流の代表的な構えです。新陰流では「構え」を「位」と呼び、悠々としておおらかな心身の状態を表し、無理のない調和のとれた自然体となっています。
(4)上泉城跡
上泉伊勢守はこの上泉城で生まれ、城主であったといわれています。当時は平城だったと伝えられていて、玉泉寺では当時の土塁や堀の跡の一部を見ることができました。前橋学市民学芸員によると、当時の土塁は今では周辺地域の畑の土になっているのではないかとのことでした。

◇特別展示
上泉家に伝わる脇差や新陰流の教えを伝えるため上泉伊勢守が描いた絵巻物(複写)などを展示。二人一組で「一刀両断」など、新陰流の基本である5つの形の特徴を表現しています。

▼編集後記
・ツアーを通して実際に信綱公ゆかりの地に行くことで、前橋市にこんな歴史ある場所があったのだと実感しました。県内外の人にも上泉伊勢守そして新陰流流祖祭の魅力を知ってほしいです。(梶田)
・新陰流の演武を実際に間近で見ることができ、木刀などがぶつかり合う音や、剣士が足を踏み込む音の一つ一つから力強さを感じました。体を大きく使って打ち続ける連続技は大迫力でしたが、ぴったりと動きを止める場面や丁寧な礼法を見せる場面もあり、メリハリが強く「、静と動」を感じる演武でした。(茂木)

問合せ:文化国際課
【電話】027-898-6992

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