■千代田のヤマユリ
日本の野生植物・草本(平凡社)によると、日本に自生するユリ科の植物は約140種類が確認されており、このうち、ラッパ型の大きな花をつける「キスゲ」などのカンゾウ属が8種、「スカシユリ」などのユリ属が12種あります。生花店で売られているユリの園芸品種には、日本の野生ユリを原種として品種改良されたものが多く、よく知られている「カサブランカ」も日本のユリの遺伝子が入っています。このように、日本の野生ユリは、世界の観賞用ユリの作出に大きな役割を果たしているといえます。
雪入山で夏によく見かけるのは、ヤマユリの花です。旧千代田町の町花はヤマユリであったことから、昔からこのあたりには多く自生していたことがわかります。このヤマユリは白くて大きな目立つ花をつけるので、観賞用として採取されたり、ユリ根を食用にするために盗掘されるなど、筑波山系ではずいぶん数が減っています。花が少ない夏の森では貴重な存在で、ハイキングの途中で美しいヤマユリの花に出会うと暑さが和らぎ、癒されることでしょう。
なお、ヤマユリは水郷筑波国定公園の指定植物になっていますので、国定公園内での採取や損傷は自然公園法で禁じられています。山にあるものは山で楽しむようにしましょう。
問合せ:雪入ふれあいの里公園ネイチャーセンター
【電話】0299-59-7000
※来月は、かすみがうら市水族館によるコラムを掲載予定
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