私たちの食を支える「農業」。
下妻市では、米をはじめ野菜や果樹、畜産など多種多様な農産物が生産され、それが市の大きな魅力でもあります。
しかし、高齢化が進み、担い手不足や耕作放棄地の増加など多くの課題も抱えています。
一方で、後継者として就農し、希望を胸に、地元で農業を営む若者がいます。
今月号では、市内で活躍する若手農業者の姿を通して、農業の魅力ややりがい、さらには下妻の農業の未来を探りたいと思います。
■01 下妻市果樹組合連合会青年部 梨を栽培しています
副部長 塚田(つかだ)祐貴(ゆうき)さん(33)
塚田(つかだ)樹(いつき)さん(25)
果樹組合連合会青年部は、梨栽培をしている青年が集まって、若い力でなにかできればという思いから結成。
人数:20人
年齢層:20~50代
結成年:昭和57年
◇就農されたきっかけは?
祐貴:最初は梨農家になりたくなかったんです。ですが、祖父母や先輩方が「やりがいのある仕事だよ」と言っていたので興味を持ち、25歳で就農しました。
樹:東京の大学に通っていたのですが、3〜4年生の時がコロナ禍で実家に帰っていました。実家が梨農家なので、手伝っている内に実家を継ごうという気持ちになり、大学を卒業してすぐに就農しました。
◇青年部ではどんな活動をしていますか?
果樹組合連合会は約90人いますが、青年部は20人いますので、青年部が約2割を占めています。
美味しい梨を作り続けたいという思いから、若い世代も徐々に加入しています。
昨年は高度技術確立事業の一環として、梨の棚上げを行いました。ほかにも、梨園地継承事業や先進地研修会を行っています。
こういった事業を通して、美味しい梨を育てるための技術を学んでいます。
◇梨の棚上げは祐貴さん発案だと伺いました。きっかけを教えてください。
梨の棚上げは、業者に頼めば簡単ですが、頑張れば2〜3日でできるんです。若い部員も増えてきましたので、コストを抑えることも重要だと思い、技術を身に着けるためにも青年部で事業化しました。
◇梨園地継承事業はどんな事業ですか?
梨栽培を辞めた方の園地を管理し、梨農家になるための研修を受けている人が独立する際に、その園地を継承する事業です。果樹組合連合会、青年部、JA常総ひかり、下妻市、茨城県が一丸となって行っています。
青年部に限らず、皆さん教えることを嫌がる人が1人もいないんです。出し惜しみすることなく、技術を教えています。
◇農業を始めて嬉しかったことは?
祐貴:花合わせ(受粉)がうまくいったときです。実がつかなかったら冬の作業も無駄になってしまうので、何年やっていても、不安になります。びっしり実がなっているのを見ると、1年間頑張った証なので、嬉しくなります。
樹:祖父は滅多に自分のことを褒めないのですが、先日「仕事が早くなったな」とボソッと言ってくれました。少しずつ認めてくれたのかなと思い、心の中でガッツポーズをするくらい嬉しかったです。
◇農業を始めてご自身に変化はありましたか?
祐貴:天気予報をよく見るようになりました。天気予報のアプリ3つを駆使して、雨雲などを見ています。
樹:早起きができるようになりました。今までは早く起きる習慣がなかったのですが、規則正しい生活ができるようになりました。また、明日雨が降るということが風で分かるようになりました。
祐貴:感覚ですね!私も雹(ひょう)が降るのが分かるようになりました。一気に冷たい風が来るのですが、その風で何となく分かるようになりました。
■02 下妻CLST(クラスタ) 主にズッキーニ、キャベツ、白菜を栽培しています
会長 中島(なかじま)好一(こういち)さん(42)
下妻CLSTは、新規就農者、若手農家が集まった団体。英語で集団を意味する「cluster(クラスター)」が名前の由来。
人数:10人
年齢層:20~40代
結成年:平成29年
◇下妻CLSTについて教えてください。
メンバーで年に1回レタスを作ったり、ノウハウを覚えたりするだけではなく、意見交換も行ってみんなで意識を高め合っています。メンバー全員熱意がありますので、集まると話が止まりません。
切磋琢磨しながら、相談し合える良い仲間です。
◇就農されたきっかけは?
最初、農家になりたいとは思いませんでした。実家が農家で、忙しくしている姿を見ていたからです。
そのため、専門学校卒業後、花を扱うところに就職しました。その当時、実家でも花を扱っていて、農家もいいなと思うようになり25歳のときに就農しました。
◇農家になるためにまず何をしましたか?
25歳のときにワーキングホリデーでオーストラリアに行きました。飛行機に乗るのも初めてで緊張しましたが、農業を学ぶため、挑戦しました。
オーストラリアには、3か月間留学し、語学学校に通いながら、農場でバナナを育てて働きました。
◇オーストラリアの農場でどんなことを学びましたか?
100人規模の大きい農場だったので、効率良く人を動かすことを学びました。今、取りかかっている仕事が終わったら、次にどんな指示を出せばいいのか、仕事が停滞しないようにすることは重要だと思いました。
◇ズッキーニを育て始めたきっかけは?
元々実家では、白菜、スイカ、メロンを育てていました。露路栽培は雨の日にできない作業が多いことから、ズッキーニの栽培をハウスで始めました。ズッキーニは花合わせと収穫が主な作業で、ルーティン化すれば育てやすい作物です。
◇今後の目標を教えてください。
現状維持です!大きくしたいという気持ちも多少ありますが、現状を保つことも大切なので、頑張ります。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>