■大局観を養う
ウィキペディアで「大局観」という言葉を検索すると「囲碁、将棋、チェスなどのボードゲームで、的確な形成判断を行う能力のこと」と出ます。
政治は情報等が溢れている中で、いかに先を読み政策を決定し、目標を達成するかが大事であると言われる中、そういえば、将棋棋士の羽生善治元竜王の本にあったなぁと思い出しました。羽生元竜王によると、「大局観」は、全体像を見て「どんどん行った方がいいということを確認することである」としていて、特に判断するときに集中力が必要不可欠なポイントとなる。集中とは余計なことを考えず、ただひたすら一つの考えを進める状態であると論じています。
そして、集中力を高める三つのトレーニング法を(1)何も考えない時間をつくること(2)一つのことをじっくり考えることに慣れること(3)時間と手間のかかることに取り組むこととしている。(1)は深すぎて理解が難しい。(2)は何とかなりそうだが、問題は(3)であろうと思う。努力型天才羽生さんの考えは、「例えば長編小説を読む」ことらしい。なぜか?たくさんの人物・背景・展開を記憶して理解しなければ前へ進めないし、話として連続性をとらえないとストーリーが分からなくなってしまうので、嫌でも集中して取り組むことになるから。ふむふむ。
こうして、さまざまなテーマについて集中する経験を積み上げていくと、それに慣れるペースも早まり、全体像を思い描くこともしだいに容易になっていく。そうなれば、集中する時間も長くなるし、いつどのタイミングで集中すればよいかもわかってくるという好循環に入る。好循環のサイクルに入ればとても楽しいのでモチベーションも上がり、ますます集中力が増す。自動的でも他動的でもいいので、まずは一つのことに集中できるような環境を作り上げ、それから徐々に集中力を深めて滞りないスムーズな流れをつくることが大切と結んでいます。
大局観は、ある程度年齢や人生経験を重ねることでどんどん身につくものであると思います。いわゆる「年の功」です。だとしたら、これまでの60歳定年やその後の「役職定年制度」は人材を活かす観点からもったいない制度と思わざるを得ません。
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