近年、社会問題として取り上げられることが増えてきたヤングケアラー。6月にはヤングケアラーの定義が法律に初めて明記され、国や自治体による支援に法的根拠ができるなど、今後の支援拡充に期待が寄せられています。
外部からは存在が見えにくいですが、悩んだり、苦しんだりしている人があなたの身近にいるかもしれません。家族を支える子どもや若者たちへの理解を深め、私たちができることについて考えてみませんか。
■ヤングケアラーとは?
家族の介護や、その他の日常生活の世話を過度に行っている子どもや若者のことです。自分の時間を使って家族の世話をすることで、学校や部活動を休まざるを得ない状況になったり、友人と過ごす時間が持てなくなったりしています。特に学業や就労に影響が出ている場合には、行政等による支援の対象になる可能性があります。
参考:こども家庭庁
・障がいや病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている
・家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている
・障がいや病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている
・目を離せない家族の見守りや声かけなどの気遣いをしている
・日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしている
・家計を支えるために働き、障がいや病気のある家族を助けている
・アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している
・がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている
・障がいや病気のある家族の身の回りの世話をしている
・障がいや病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている
○お手伝いとの違い
学校・社会生活に支障が出ている場合はもちろん、家族のケアをせざるを得ない場合など、年齢や成長過程に見合わないケアを行わなければならない点が、お手伝いとは異なります。
■県内のヤングケアラーの現状
茨城県ケアラー・ヤングケアラー実態調査(令和4年)から抜粋
○ヤングケアラーはどれくらいいるの?
小学6年生:9.6%
中学生:4.5%
全日制高校生:3.6%
30人学級の場合、クラスに1~2人いる計算になります
○どんな世話をしているの?
[各世代]
見守り…きょうだい、母など
家事…食事の準備、掃除、洗濯
外出の付き添い…買い物、散歩など
世話をする対象は、各世代ともきょうだいが最多です
○世話をしている頻度・時間は?
[各世代]
頻度:ほぼ毎日
時間:3時間未満(平日)
当事者の4割強が、ほぼ毎日家族の世話をしています
世話の頻度が多く、世話の時間が長い人ほど、自分は「ヤングケアラーに当てはまる」と答えた人が増えましたが「分からない」と答えた人も同様の傾向があるため、ヤングケアラーと自覚していない人も多いと考えられます。
■ヤングケアラーが抱える問題
○実際の声
・学校に遅刻・早退しがちになる
・自分の時間が取れない
・友人と遊ぶことができない
・睡眠が十分に取れない
・進路の変更を考えざるを得ない
・学校を休みがちになる
・宿題や勉強する時間が取れない
○将来に悪影響も…
家族のケアのため勉強する時間がなく、学力の低下や希望の進路に進めないといった問題につながります。さらに、友人と交流する時間も減ってしまい、社会的に孤立しがちです。
家庭内の問題ということもあり、周りに相談するほどでもない・相談しても解決しないと考える当事者が多く、問題が表面化しにくい傾向にあります。
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