■《食を生産する》「食」を大切にできる大人に
当たり前のように私たちの身近にある「食品」。
スーパーに行けば、野菜や肉、米など、さまざまな食品がいつでも手に入るため、つい食べ物の〝ありがたみ〟を忘れがちになってしまうことも。
今回は、市内でキャベツ畑を営む「アイアグリファーム守谷」の渡部さんに、生産にまつわるお話を伺いました。
○キャベツの生産量は?
市内15ヘクタールの畑で、年間約700トン以上のキャベツを作っています。キャベツ1個が1~2キロありますが、作付株数に換算すると70万株以上になります。
市内はもちろん、関東圏の食品工場などへも出荷しています。
○こだわりのキャベツ
学校給食にも使っているこのキャベツは、安全安心な品質であることを第一に育てており、JGAP(食品安全、労働安全、人権福祉など持続可能な農場経営に取り組む農場に与えられる認証)も取得しています。
包丁で1個ずつ収穫していますが、その際、キャベツの外側の葉を丁寧に剥いて、害虫や傷みが無い状態で出荷しています。
そして、収穫したキャベツの鮮度にもこだわっています。収穫したキャベツは、出荷まで冷蔵庫に入れて保管しますが、給食センターや市内飲食店などには、まさに獲れたての新鮮な状態での提供に努めています。
○食べられるようになるまでは?
年2回、初夏と秋冬に収穫できるよう植えています。品種によって全く異なりますが、種からおよそ90日以上、品種によっては越冬させて半年ほどかけて食べられる大きさに成長させていきます。
もちろん、植えた後もしっかり手入れをしないと、おいしいキャベツには成長してくれません。特に害虫による被害を防ぐため、雑草を取り除くことには苦労します。キャベツとキャベツの間は機械では刈ることが難しいため、広大な畑を手作業で除草していく、気の遠くなる作業です。現在ではこういった除草作業も機械化が進んでおり、最先端の技術検証、実用化にも取り組んでいます。
種まき
↓温室で30~40日
畑に植え替え
↓60日~半年
収穫
○顔が見えて安心
日本は、いつでもスーパーに全国の食品が並ぶようにしていますよね。でも実は、全国から集めるための輸送や保管にコストがかかり、たくさんの無駄が発生しているんです。だからなるべく、近くで調達したものを鮮度がいいうちに食べる人へ届けるということが大事だと思います。
そして、給食のように、消費者も生産者もお互いに顔が見えるほうが、安心して食べる、食べてもらうことができますよね。地産地消の取組を増やすため、白菜や玉ねぎなど、他の野菜作りにも挑戦したいと思っています。
○キャベツにも品種がある?
キャベツはどれも同じと思われがちですが、実は成長する早さが異なる品種のキャベツを1作で8~10種類程度育てています。
出荷する量を安定させるための工夫です。味も品種によって少しずつ違うんですよ。
○食べられるのは当たり前?
飽食の時代では、農作物は「安く安全に食べられて当たり前」と認識されがちですが、実際にはものすごく手間をかけて作っています。
子どもたちには、地元の野菜を食べることを通じて、農家さんがどうやって作っているのか、調理をする人も含めて、こんなに時間と手間暇かけて食卓に並んでいるということに、想いをはせてほしいですね。そうすると、自分が大人になったときに、食を大切にできると思うんです。
「食を大切にする」風土が高まれば、農家さんたちが前向きに生産でき、子どもたちも次の担い手になりたいと思ってくれるようにもなると思います。
「食」への理解を深め、おいしく食べてほしいですね。
毎年、守谷ハーフマラソンでもブースで販売していますよ!
(アイアグリファーム守谷 農場長 渡部 耕(わたなべこう)さん)
◆教えて栄養士さん!
○なぜ好き嫌いが起きるの?
好き嫌いは、人間の成長過程において自然に起こる現象です。子どもは大人に比べて味覚が敏感で、味に対する感じ方が異なります。甘味、塩味、うまみは、生命維持に欠かせないエネルギー源や栄養素の存在を示すため、好まれやすい味です。一方、酸味や苦味は腐敗や毒物の存在を知らせる味なので、本能的に避けられる傾向があります。
○好き嫌い克服のヒント
生では食べられなくても、炒めたり揚げたりすると食べられることも。そして、食事の場は、みんなで楽しい雰囲気に。大人がおいしそうに食べている姿を見せることも効果的です。
また、野菜を育てたり、食材の買い物に行ったり、一緒に料理をしたりして、食に関する体験をたくさんさせて、食への興味を引き出してあげること。自分が関わった料理は、よりおいしく感じられるはずです。
苦手な食べ物を食べられるようになるには時間がかかることもあります。焦らずゆっくり、あたたかく見守りましょう。
(守谷小学校 栄養教諭 寺田(てらだ)さん)
◆給食のこだわりポイント!
○「だし」にこだわっています
守谷市の給食は「だし」にもこだわっています。だしの素材はすべて国産を使用し、鰹節はおそば屋さんのような「厚削り鰹節」です。今年度からは国産のとりガラを使った「とりガラスープ」の提供も始めました。だしを上手に使うと、少ない塩分でもコクが出ておいしいスープになります。
○子どもたちの声から誕生! 揚げパン
子どもたちの声から誕生する給食もたくさんあります。新しい給食センターになり、給食のアンケートなどで「揚げパンが食べたい」という声があり、揚げる温度、砂糖の種類、量など何度も試作を重ねて誕生しました。たくさんの人が食べられるように、牛乳や卵を使わない揚げパンです。
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