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特集 常陸秋そば発祥の地(1)

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茨城県常陸太田市

■歴史
常陸秋そば発祥の地とされている赤土町は、地名通り赤い土壌で、山あいの傾斜地にそば畑が広がっています。水田が少なく、米の代用食として昔から葉タバコの裏作にそばが作られてきました。タバコや大豆を同じ畑で連作すると作物の生育が悪くなるため、裏作にそばをつくることで、タバコの生産性の低下を防ぐ方法がとられました。一方で、そばにとってもタバコの収穫後、畑に残った肥料が効果的だったため、そば栽培が盛んになっていきました。そして、昭和53年、茨城県がブランド化に向け新品種の育成に乗り出し、県内在来種の中で最もおいしいといわれていた金砂郷在来種を選抜育成して「常陸秋そば」が誕生、昭和60年に県の奨励品種として採用されました。

■特徴
常陸秋そばは、粒ぞろいが良く、実が詰まっていて、一粒一粒に重さがあるのが特徴です。また、赤土町周辺は、昼夜間の気温差が大きく、霧の立ち込める地形となっており、これが味の良いそばを育てるといわれています。口に含んだ時の甘みと、鼻腔に広がる芳醇な香りが特に優れ、そば職人や全国のそば通からも玄そば最高峰の評価を得ており、その味を求めて多くのファンがこの地を訪れます。

■そばが食べられるまで
1.種まき
2.受粉
3.刈り取り
4.製粉
5.水まわし
6.延ばし
7.切り
8.完成

■品質を守る
そばの品質管理では、種の管理が重要です。そばは、他の品種と交雑しやすいため、そば畑周辺の環境はとても重要で、山あいであることが外から他の品種の遺伝子が入り込むのを防ぎます。また、そばの花が実を結ぶためには、受粉の作業を担う昆虫が多くいる周辺の環境も大事です。
常陸秋そばの種子は、県農業総合センター農業研究所で原々種を、本市で原種を生産し、その原種から赤土町を中心に近隣の採種農家が種子を生産し、一般の栽培農家に販売されるようになります。最初の原々種生産から一般の農家に供給されるまで3年かかります。本市は、常陸秋そば特有の香り、風味、甘みを守るため、種子を大切に栽培している産地なのです。

■生産者に聞く 岡﨑武さん
▽赤土に勝るものはない、プライドを持って作るそば
私は、赤土町でそばの種子を生産しています。3代前くらいからそばの生産をしており、当時は、今とは違い葉タバコの生産が主流で、その裏作として小麦やそばが作られていました。当時から赤土産のそばは、気候や土壌がよく、実につやがあり、丸々として、重量感があったため、他の地域と比べてすごく品質がよかったです。私も小さい頃からそば作りのお手伝い等をして育ち、赤土産そばの品質の良さを実感してきました。現在は、約1町6反歩で種子の栽培をし、「赤土のプライド」を大切に妻と二人三脚で生産しています。

▽そば作りのこだわり
そば作りには、小石混じりの斜面のある場所での生産が望ましく、いかに水はけをよくするかがポイント!また、品質へのこだわりとして、収穫後に天日乾燥を1週間かけて行い、そのうち4日間は遮光シートをかけて乾燥させる。時間をかけて水分を下げていくのがおいしいそば作りへの秘訣です!
生産した種子は農協へ、余剰分は一般そばとして卸されます。市内だけではなく遠方さまざまなところで常陸秋そばを取り扱っていただいているので、私がそういった方たちに常陸秋そばの良さを広め、そこからさらに広がっていくといいなと思います。

▽これからの常陸秋そばについて
最近では、地元の高校生がそば打ちに励み、全国大会に出場している等若い方の活動でどんどん盛り上げてくれるのはすごくうれしい。そばという貴重な作物が、赤土の名が、次の世代へと続いていつまでも誰かのもとへ届いてほしいです。

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