■行方市の歴史と観光
―学生のSDGs視点から(1)
行方市SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授 野田 真里
1.行方市SDGsフィールドワーク2024を実施
本年9月17~18日、私の研究室の学生13人と共に、行方市SDGsフィールドワーク2024を実施いたしました。ご対応をいただきました、歴史に造詣の深い行方市議会議員の宮嵜和洋さまをはじめ、訪問先の皆さまや関係各位に感謝申し上げます。また、ご尽力いただきました行方市政策秘書課をはじめ、関係各課の皆さまに御礼申し上げます。本研究室は、SDGsの視点から地域の持続可能な開発について学んでおります。市民の皆さまに若い学生が見聞し、感じ、考えたことをフィードバックさせていただきたく、今回は行方市の歴史と観光をテーマにご紹介させていただきます。なお、学生の原文を尊重しつつ、必要な編集を行っております。
2.郷土教育としての史跡巡りの意義と課題
行方市麻生地区は「千年村プロジェクト」に認定され、『常陸国風土記』にも記載があり、長い歴史を持つとされています。市議の宮嵜和洋さまに行方市内の古墳等の史跡をご案内、お話を伺うことができました。厚く御礼申し上げます。気になった点として、行方市内の小学校では校外学習として史跡をめぐることはなかなかないというご説明がありました。
子どもたちが生まれ育った地域の歴史に関心を持ち、実際の史跡に足を運んで体験し、歴史を学ぶことは、郷土愛を育む上でも意義があるといえます。今後の改善に向けて、次の点が重要と考えます。第一に、史跡へのアクセスの改善です。市内に豊富にある史跡はその存在すらわかりにくいものもあり工夫が必要でしょう。第二に、子どもたちにもわかりやすい資料の整備を行政だけでなく、学校でも教材を作ってみることも重要でしょう。(4年生・女性)
3.電動キックボードの観光への活用
行方市では、脆弱(ぜいじゃく)な公共交通による観光客の交通手段の不足や、地元住民のアクティビティの少なさが課題とされています。その解決手段として、移動と観光コンテンツの両方を担える、電動マイクロモビリティである電動キックボードを導入、観光物産館こいこいに設置されています。都市部では電動キックボードは、簡便な移動手段として注目されています。行方市ではさらに「爽快な気分が味わえる楽しい体験」としての潜在的需要を満たす、観光ツールとしての利用推進という、新たな付加価値を模索しています。
実際に、電動キックボード利用し霞ケ浦湖畔を走る機会に恵まれ、行方市の観光資源との相乗効果に向けて次の提案をさせていただきます。第一に、隣接する霞ケ浦ふれあいランドと連携した「若者がリフレッシュするための電動キックボード」の利用推進です。敷地内にあるボルダリングで汗を流したあと、夕日を見ながらキックボードで霞ケ浦湖畔を走ることは爽快でしょう。第二に、行方市の豊かな観光資源である古墳等の史跡は、霞ケ浦と並んで観光客にとって魅力的です。こうした史跡を電動キックボードで回る等、うまく結び付けることで、より観光の発展が期待できると思われます。(4年生・女性、3年生・男性)
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