■鹿島アントラーズアカデミー ユース監督
柳沢 敦
▽選手歴
富山第一高校-鹿島アントラーズ-サンプドリア(イタリア)-メッシーナ(イタリア)-鹿島アントラーズ-京都サンガF.C.-ベガルタ仙台
▽指導歴
鹿島アントラーズトップチームコーチ-鹿島アントラーズユースコーチ-鹿島アントラーズユース監督(2021年~)
▽日本代表歴
2002年、2006年 W杯日本代表
◆ジーコスピリットをつないでいく。
▽アントラーズで指導者のキャリアをスタートさせることへの想いは?
プロ選手として19年間活動した中で、アントラーズは、自分のベースを築かせてくれた特別なクラブです。いろんな競争の中でプロ選手としてのあるべき姿を構築できました。多くのクラブに行きましたが、アントラーズで学んだこと、ジーコスピリットが原点となっていました。プロ選手としてスタートした場所で、指導者として新たなスタートが切れることは、ありがたく、すぐに決断しました。
▽トップチームとユースでの指導の違いは?
トップは勝つことがすべて。一方でアカデミーは、プロ選手を育てる場所です。アントラーズは、常に勝つことが求められる特別なクラブなので、勝ちながらも選手を育てていくことが必要だと思う。いい選手をプロに輩出することが1番ですが、一握りの選手しかプロになれない。プロになる選手以外の方が多いので、その選手たちが社会へ出た時、さまざまなことに対応できたり、社会に通用する人間力を磨くのも大事な部分だと思うし、それを常に意識して指導していかなければいけない。今、経験していることが、将来理解できて、苦しい時に思い出して、乗り切る原動力になってほしいです。
▽アントラーズアカデミーの指導環境・体制の強みは?
ハード面で言えば、すばらしい寮があり、練習場所も近く、隣ではトップチームが練習している。すぐ間近にプロを感じ、同じエンブレム、ユニフォームを着て戦える、練習できることは、モチベーションになる、すばらしい環境だと感じます。スタッフで言うと、オリンピック代表・日本代表のコーチを経験された里内さんをはじめ、指導者経験が豊富な人が多くいる。小笠原テクニカルアドバイザーや曽ケ端GKコーチのような、かつてアントラーズでプレーしたレジェンドたちがいるのも非常に大きい。彼らの言葉の説得力は、選手たちにとって宝なんじゃないかなと思います。
▽今季のユースチームの状況は?
チーム内で競争をしながら開幕を迎えるにあたって、1年生の選手たちが非常に力を発揮してくれている。4年ぶりのプレミアリーグ復帰で、当たって砕けろ精神で挑んでいます。前回プリンスリーグに降格した時は、勝ち点で並んで得失点1の差でした。選手たちには1点の重みを感じてほしかった。常に競争がないと、チームは成長しないし、緊張感の中でトレーニング・試合を行わないといけない。力がついた人が出て、いい順位にいながら、メンバーが変わっていく状況があれば、優勝が見えてくると思います。
▽タイトル獲得に必要なことは?
まさにジーコスピリットです。『献身・誠実・尊重』は、選手たちがアントラーズに入った時に必ず話をします。対戦相手・審判・味方に対しても、ジーコスピリットを意識することの重要性を伝えています。そしてそれをつないでいくことは、自分たちの役割でもあると思います。
また、競争と結束。これもフットボールアドバイザーの鈴木満(すずきみつる)さんが言っていたアントラーズの哲学だと思います。チームには常に競争があって、お互い高め合うライバルだけど、最後は結束して、仲間として戦う。この重要性を選手たちには常々伝えています。
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